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プレスリリース 発行No.1082 令和2年6月12日

東邦大学メディカルレポート
- 肺がんの特徴と治療法について -
~ 肺がんに特有の症状はないので気になる人は早めに医療機関へ ~

 東邦大学医療センター大橋病院外科(目黒区大橋2-22-36、診療部長:斉田 芳久教授、呼吸器外科グループ:桐林 孝治講師)は、呼吸器領域の専門医を擁して、肺がんをはじめ、縦隔腫瘍、自然気胸、その他の呼吸器疾患に対応して、患者さんそれぞれの状況・希望に合わせたテーラーメイドの診療を心がけつつ、できる限りダメージの少ない安全で低侵襲な治療に取り組んでおり、多くの症例で手術の傷の小さな胸腔鏡下手術を導入しています。

 2017年のデータによると、日本では年間 13 万人以上の人が肺がんを発症し、7 万人以上が亡くなっています。男性ではがんで亡くなる人のうち、部位別では、肺がんが第一位、女性でも大腸がんに続いて第二位となっており、その数は増加傾向にあるといわれています。一方で肺がんの治療法も劇的に進歩しています。当レポートでは、肺がんの特徴や治療法についてわかりやすくお伝えします。

1.肺がんの検査法と種類

 がんの主な特徴は大きく分けて4つあります。それは、「正常な細胞が変異を起こすことによって発生した、異常な細胞(がん細胞)の集団である」、「免疫機能等の正常な制御機構を無視して、無秩序に増殖する」「他の臓器に転移して増殖を繰り返し、その機能を奪う」、そして「上皮から発生する」です。

 肺がんには、肺の細胞から発生する「原発性肺がん」と肺以外の細胞から発生する「転移性肺がん」があります。肺がんの主な症状としては、咳、痰が出やすくなったり血が混じったりする、呼吸困難、そして胸の痛みなどがあります。 しかし、早期の肺がんは症状をほとんど認めません。定期的な健康診断を受診することが大切で、もし異常が発見されたら、早めに医療機関を受診する必要があります。

 検査方法としては、検診等に用いられる「胸部X線検査」がよく知られています。肺に異常があれば白い陰影で認めることができます。ただ、3次元の病変を2次元で描出するため、陰影に隠れて不明な箇所が多くあることが欠点です。この点を解決したのが「胸部CT検査」で、断層画像が得られるため肺を詳しく調べるのに欠かせない検査です。また、「FDG-PET/CT検査」は、放射性薬剤を体内に投与し、これを特殊なカメラでとらえて画像化するもので、がんや炎症の病巣を調べたり、良性か悪性かを判定したりするのに用いられます。このほか、痰を採取して細胞を調べたり、気管支鏡を口から挿入して気管支内を観察し、異常が見つかればその細胞を採取したりする検査法などがあります。

 肺の細胞から発生する原発性肺がんは、がん細胞や組織の種類によって、「非小細胞肺がん」と「小細胞肺がん」に大別され、非小細胞肺がんはさらに「腺がん」、「扁平上皮がん」、「大細胞がん」に分類されます。
腺がんは、消化管(胃や大腸)など腺組織とよく似た形状をしたがんで女性や非喫煙者に多いのが特徴で、肺がん患者全体の半数以上を占めます。扁平上皮がんは、皮膚や粘膜等の扁平上皮によく似た形状をしたがんで、喫煙と関連強く、肺の入り口近くで発生しやすいのが特徴で、全体の25~30%を占めます。大細胞がんは、正常な組織に類似しないがんのうち、細胞の大きなものを指します。全体の数%程度を占めます。
 小細胞肺がんは、正常な組織に類似しないがんのうち、細胞の小さなものを指します。増殖速度が速く転移しやすい特徴があり、全体の20%程度を占めます。

2.肺がんの治療法

 がんの進行度合いを示す病期は、原発巣の進展度(T因子)、リンパ節転移(N因子)、遠隔転移の状況(M因子)の3つの因子を使用し、総合的に診断されます。
 病期はもとより患者さんの状態に応じて、肺がんの治療法は違いますが、早期のがんであれば、手術を中心に治療し、術後に化学療法を併用することもあります。一方、病期が進んでいれば、化学療法を中心に放射線治療を併用して治療します。
 
 治療法には、主に「外科療法」、「放射線治療」、「化学療法」、「緩和医療」があります。

 外科療法は、がん腫瘍手術で取り除く治療法です。手術には、がんが含まれている肺葉を切除したり、片側の肺全てを切除したりする場合もあります。また、がんが小さい場合や体力面からの負担軽減を目的に、区域切除もしくは部分切除する術式もあります。非小細胞肺がんは、小細胞がんに比べて進行速度が遅いため、早期発見で手術ができれば根治が見込めます。

 放射線治療はX線などの放射線をがんに照射することで、がん細胞を攻撃する治療です。進行の速い小細胞がんの治療に効果が期待できます。
 外科療法と放射線治療は、がんのできている部位とその周辺に対して行われるため「局所療法」ともいわれます。

 化学療法は抗がん剤を使ってがん細胞の増殖をおさえる治療法です。小細胞肺がんは診断された時点で転移がみられることが多い一方で、非小細胞肺がんに比べて抗がん剤治療の効果が高いため、抗がん剤が治療の中心となります。治療の影響が全身に及ぶことから「全身療法」ともいわれます。
 化学療法の一種に「分子標的治療」があります。これは分子標的薬という比較的新しい抗がん剤を使い、がんの増殖や転移などに関わっている分子に直接作用することで、がん細胞の増殖を抑える方法です。このほか、「免疫チェックポイント阻害剤」といわれる薬剤も注目を集めています。抗がん剤は基本的にはすべての細胞にダメージを与える薬であるため、様々な副作用が現れます。従って、それらについて事前に把握しておくことも重要です。

 緩和医療は、がんと診断されたときから行う、身体的・精神的な苦痛をやわらげるためのケアのことです。がん患者とその家族が、可能な限り質の高い治療・療養生活を送れるように、身体的症状の緩和や精神心理的な問題などへの援助が、終末期だけでなく、がんと診断された時からがん治療と同時に行われることが求められています。

 肺がんは、早期のうちは特有の症状がないため自覚症状がないうちに進行していることがあります。また、肺がん以外の呼吸器の病気にもみられる症状でも肺がんの初期症状の場合があります。気になる症状がある人は、早めに専門医の診察を受けるようにしましょう。
 東邦大学医療センター大橋病院外科では、呼吸器内科医師、化学療法専任看護師・薬剤師、放射線治療医、緩和医療専門医とも連携しつつ、手術前・手術後の検査や治療、化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療にも手術を担当する医師・グループがそのまま担当します。さらに、再発転移した患者さんにも各専門家と連携しつつも同じ医師・グループがシームレスに担当することで、安心していただける環境をつくり、大橋病院の基本理念である“優しい心・親切な心のこもった医療の実践”を目指しています。

以上

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