プレスリリース 発行No.1073 令和2年4月13日
こころの健康教室 サニタ
このウェブサービスは、令和4 年度から開始される高等学校学習指導要領に、「精神疾患の予防と回復」の項目が追加されることを受け、学校で広く活用可能な教育資材を、精神保健医療の専門家と学校教員で構成されるワーキンググループで開発しました。開発プロセスでは精神疾患を経験した若者や高校生・大学生から意見を聞き、教育教材に反映しました。
具体的には、アニメ(精神保健概論・うつ病・統合失調症・不安症・摂食障害)、当事者インタビュー、解説集・模擬授業、学校教職員インタビューが掲載されています。学習指導要領に沿った教育資材をウェブサイト上で配信することで、より多くの人が、精神疾患の予防や早期治療の重要性を認識し、もし罹患した場合でも適切な対処によって回復できることが認識され、差別偏見のない社会づくりが進むことが期待されます。
本研究成果は、日本時間2020年4月11日午前11時にEarly Intervention in Psychiatryに掲載されました。
研究の背景
研究の内容
教育資材の一つであるアニメでは、うつ病・統合失調症・不安症・摂食障害を扱っています。それぞれ4分のストーリーの中で「早期発見のために知っておくべき症状」を説明しています。各アニメで、主人公の不調への対処行動は異なりますが、いずれも一人で抱え込まず周囲の人に相談できたことや、周囲の人が手を差し伸べてくれたことが回復のきっかけになっています。これらのアニメには、英語、中国語(簡体字 繁体字)、韓国語、ポルトガル語での字幕を選択できるようにしました(図2)。移民であることは、精神不調や精神疾患のリスク因子と言われています。日本語を理解できない子どもたちが日本の学校教育の中で不利を被らないため、また、そのような社会の中でストレスに気がつき、適切に対処できる力を身につけて欲しいという願いから、多言語字幕版の教育資材を作成しました。
当事者インタビューでは、思春期に精神疾患を経験した若者が自身の経験から、思春期の若者やその周囲の大人に知ってほしいことが語られています(図3)。「こころの健康教室 サニタ」にある教育資材は、ウェブサイト上で無料配信しているため、学校の授業だけでなく、自宅でも保護者と共に視聴できる点が大きなメリットと言えます(図4)。




今後の展望
「こころの健康教育 サニタ」で提供する教育資材は、インターネットを介して入手できるため、学校の授業だけでなく、自宅で学習内容を保護者と共有することもできます。思春期の若者はもちろんその周囲の大人等、より多くの人が、この「こころの健康教室 サニタ」で学ぶことで、精神疾患の予防や早期治療の重要性について認識し、もし罹患した場合でも適切に対処することで回復できることが認識され、差別偏見のない社会づくりが進むことが望まれます。
発表雑誌
-
雑誌名
「Early Intervention in Psychiatry」
論文タイトル
An innovative approach to adolescent mental health in Japan: school-based education about mental health literacy
著者
Yasutaka Ojio*, Ryoichi Mori, Kazunori Matsumoto, Takahiro Nemoto, Tomiki Sumiyoshi, Hirokazu Fujita, Tsubasa Morimoto, Aya Nishizono-Maher, Chiyo Fuji, Masafumi Mizuno
DOI番号
10.1111/eip.12959
アブストラクトURL
https://doi.org/10.1111/eip.12959
こころの健康教室 サニタ
ウェブサイトURL:https://sanita-mentale.jp/
※本研究への支援
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の障害者対策総合研究開発事業「児童・思春期における心の健康発達・成長支援に関する研究」(研究開発代表者 水野雅文)として実施しました。
用語解説
当事者と専門職とが、対等な立場で、互いの経験や専門性を尊重し合いながら一緒に考え、有用なサービスを開発するプロセス
お問い合わせ先
【研究に関するお問い合わせ】
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部
小塩 靖崇(おじお やすたか)
TEL:042-346-2168 FAX:042-346-2169
E-mail:ojio[@]ncnp.go.jp ※E-mailはアドレスの[@]を@に替えてお送り下さい。
【報道に関するお問い合わせ】
国立精神・神経医療研究センター 総務課広報係
〒187-8551 東京都小平市小川東町4-1-1
TEL:042-341-2711(代表) FAX:042-344-6745
E-mail: ncnp-kouhou[@]ncnp.go.jp
学校法人東邦大学 法人本部経営企画部
〒143-8540 東京都大田区大森西5-21-16
TEL: 03-5763-6583 FAX: 03-3768-0660
E-mail: press[@]toho-u.ac.jp
URL:www.toho-u.ac.jp
東海大学 大学広報部企画広報課
〒259-1292 神奈川県平塚市北金目4-1-1
TEL:0463-58-1211(代表) FAX::0463-50-2215
E-mail:pr[@]tsc.u-tokai.ac.jp
東北大学 総務企画部広報室
〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2-1-1
TEL:022-217-4816
E-mail:koho[@]grp.tohoku.ac.jp
奈良県立医科大学 研究推進課
〒634-8521 奈良県橿原市四条町840番地
TEL:0744-22-3051 FAX:0744-25-7657
明治学院大学 総合企画室広報課(担当:圓道・小川)
〒108-8636 東京都港区白金台1-2-37
TEL:03-5421-5165 FAX:03-5421-5185
E-mail:koho[@]mguad.meijigakuin.ac.jp
【AMED事業に関するお問い合わせ】
日本医療研究開発機構
ゲノム・データ基盤事業部 医療技術研究開発課
TEL:03-6870-2221
E-mail:brain-d[@]amed.go.jp
※E-mailはアドレスの[@]を@に替えてお送り下さい。