プレスリリース 発行No.1033 令和元年11月6日
関節リウマチ患者の軟骨損傷の度合いを関節超音波を用いて評価
~関節超音波検査が関節リウマチにおける関節病変の包括的評価に有用であることを実証~
~関節超音波検査が関節リウマチにおける関節病変の包括的評価に有用であることを実証~
東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野の小倉剛久講師と亀田秀人教授らの研究グループは、関節リウマチ患者と健常対照者の軟骨損傷の度合いを関節超音波を用いて評価し、簡便な半定量的スコアでも関節リウマチ患者では健常対照者に比較して軟骨損傷が進んでおり、罹病期間とともに進行することを見出しました。
これにより、今後、関節リウマチの臨床評価がより適切に行われることが期待されます。
この成果は2019年10月25日に Arthritis Care & Research誌にて発表されました。
これにより、今後、関節リウマチの臨床評価がより適切に行われることが期待されます。
この成果は2019年10月25日に Arthritis Care & Research誌にて発表されました。
発表者名
小倉 剛久 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 講師)
平田 絢子 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 助教)
林 則秀 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 非常勤医師)
今泉 ちひろ(秋田大学医学部血液・腎臓・膠原病内科学講座 医員)
伊東 秀樹 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 非常勤)
武中 さや佳(東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 助教)
井上 有希 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 助教)
高倉 悠人 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 レジデント)
水品 研之介(東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 大学院生)
片桐 翔治 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 大学院生)
亀田 秀人 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 教授)
平田 絢子 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 助教)
林 則秀 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 非常勤医師)
今泉 ちひろ(秋田大学医学部血液・腎臓・膠原病内科学講座 医員)
伊東 秀樹 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 非常勤)
武中 さや佳(東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 助教)
井上 有希 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 助教)
高倉 悠人 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 レジデント)
水品 研之介(東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 大学院生)
片桐 翔治 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 大学院生)
亀田 秀人 (東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 教授)
発表のポイント
- 関節超音波を用いて軟骨損傷の度合いを半定量的に評価し、その妥当性を実証した。
- これまでは軟骨損傷をX線による関節裂隙の狭小化で間接的に評価していたが、関節超音波による直接的な評価を行った。
- 今後、関節リウマチの臨床評価がより適切に行われることが期待される。
発表概要
関節リウマチは持続性・破壊性の関節炎により骨および軟骨の損傷が生じることで関節機能障害をもたらします。骨の損傷は単純X線で直接評価できますが、軟骨はX線で描出されないため、これまでは骨と骨の隙間(関節裂隙)の狭小化を軟骨損傷の評価として代用していました。
今回の研究では、関節超音波検査により、関節リウマチ患者と健常対照者の軟骨損傷の度合いを半定量法で評価し、従来の関節X線による関節裂隙の狭小化スコアや罹病期間との関連性を調べました。その結果、関節リウマチによる軟骨損傷を直接評価することの有用性が示されました。
今後、関節リウマチの臨床評価がより適切に行われることが期待されます。
今回の研究では、関節超音波検査により、関節リウマチ患者と健常対照者の軟骨損傷の度合いを半定量法で評価し、従来の関節X線による関節裂隙の狭小化スコアや罹病期間との関連性を調べました。その結果、関節リウマチによる軟骨損傷を直接評価することの有用性が示されました。
今後、関節リウマチの臨床評価がより適切に行われることが期待されます。
発表内容
関節リウマチは持続性・破壊性の関節炎により骨および軟骨の損傷が生じることで関節機能障害をもたらします。骨の損傷(骨びらん)が関節リウマチの特徴として知られていますが、関節機能には骨損傷よりも軟骨損傷の方がむしろ重要な影響を及ぼすことが報告されています。しかし、骨の損傷は単純X線で直接評価できますが、軟骨はX線で描出されないため、これまでは骨と骨の隙間(関節裂隙)の狭小化を軟骨損傷の評価として代用していました。そこで東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野の小倉剛久講師と亀田秀人教授らの研究グループは、2011年から2015年に東邦大学医療センター大橋病院膠原病リウマチ科を受診した関節リウマチ患者103名と健常対照者42名を対象として両手第2~第5指の近位指節間関節と中手指節間関節の計16関節の軟骨厚を関節超音波を用いて計測し、さらに軟骨損傷の度合いを関節超音波による簡便な3段階の半定量法(関節毎のスコアが0~2、評価16関節の合計0~32)で評価しました。その結果、健常対照者に比較して関節リウマチ患者では有意に軟骨厚が減少し、軟骨損傷の半定量法スコアが高値(中央値は健常対照者が4点、関節リウマチ患者では2倍の8点)となっていました。
さらに関節リウマチ患者においては、軟骨厚の計測値、軟骨損傷スコアのいずれもが、従来の軟骨損傷の推定法である関節X線における関節裂隙狭小化スコアと良好な相関を示しました。そして、関節リウマチに長く罹患しているほど軟骨損傷が進行することも判明しました。
軟骨損傷の半定量法スコアはOMERACT(Outcome Measures in Rheumatology)という国際的な臨床評価法の検討組織により本年論文発表されたばかりの方法で(Mandl Pら、Development of semiquantitative ultrasound scoring system to assess cartilage in rheumatoid arthritis. Rheumatology (Oxford) 2019 Apr 26. doi: 10.1093/rheumatology/kez153)、その妥当性を世界で最初に検証した論文であることが高く評価されました。
本論文の結果により関節超音波検査は、従来用いられていた関節炎と骨損傷の評価のみならず、軟骨損傷の評価にも適しており、関節リウマチにおける関節病変の包括的評価が可能なツールであることを実証したと言えます。
さらに関節リウマチ患者においては、軟骨厚の計測値、軟骨損傷スコアのいずれもが、従来の軟骨損傷の推定法である関節X線における関節裂隙狭小化スコアと良好な相関を示しました。そして、関節リウマチに長く罹患しているほど軟骨損傷が進行することも判明しました。
軟骨損傷の半定量法スコアはOMERACT(Outcome Measures in Rheumatology)という国際的な臨床評価法の検討組織により本年論文発表されたばかりの方法で(Mandl Pら、Development of semiquantitative ultrasound scoring system to assess cartilage in rheumatoid arthritis. Rheumatology (Oxford) 2019 Apr 26. doi: 10.1093/rheumatology/kez153)、その妥当性を世界で最初に検証した論文であることが高く評価されました。
本論文の結果により関節超音波検査は、従来用いられていた関節炎と骨損傷の評価のみならず、軟骨損傷の評価にも適しており、関節リウマチにおける関節病変の包括的評価が可能なツールであることを実証したと言えます。
発表雑誌
-
雑誌名
「Arthritis Care & Research」(2019年10月25日)
論文タイトル
Finger joint cartilage evaluated by semi-quantitative ultrasound score in patients with rheumatoid arthritis
著者
Takehisa Ogura*, Ayako Hirata, Norihide Hayashi, Chihiro Imaizumi, Hideki Ito, Sayaka Takenaka, Yuki Inoue, Yuto Takakura, Kennosuke Mizushina, Takaharu Katagiri, and Hideto Kameda*
DOI番号
10.1002/acr.24101
アブストラクトURL
https://doi.org/10.1002/acr.24101
添付資料

以上
お問い合わせ先
【本発表資料のお問い合わせ先】
東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野
教授 亀田 秀人
〒153-8515 目黒区大橋2-22-36
TEL: 03-3468-1251 FAX: 03-5433-3069
E-mail: hideto.kameda[@]med.toho-u.ac.jp
※E-mailはアドレスの[@]を@に替えてお送り下さい。
URL: https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/ohashi/kogen/
【本ニュースリリースの発信元】
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