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プレスリリース 発行No.983 令和元年6月25日

千葉県内から日本初の記録となるカタツムリダニを発見
~ 地元高校教諭の長年の努力が結実 ~

発表者名

脇 司(東邦大学理学部生命圏環境科学科講師)

発表概要

 千葉県内で2014年に採集されたカタツムリに寄生していたダニが、日本で初めての記録となるダニであることが、東邦大学理学部生命圏環境科学科の脇 司講師、法政大学国際文化学部の島野 智之教授、信州大学理学部の浅見 崇比呂教授の研究チームによって確認され、2019年5月に日本動物分類学会が刊行する英文誌Species Diversityに研究論文が掲載されました。

 このダニを最初に発見したのは千葉県立若松高校の入村 信博教諭で、入村教諭にちなんで「ニュウムラカタツムリダニ」という和名がつけられました。ニュウムラカタツムリダニは、カタツムリの肺やその周辺にとりついて吸血していると考えられています。
 カタツムリダニの仲間は本種の他に日本に2種生息していることが確認されており、今回は3種目の報告となります。

経緯等

 今回の発見となったダニは、2014年に入村教諭が千葉県において採取したカタツムリに寄生していたもので、標本として保管されていました。これを脇講師、島野教授、浅見教授のもとに送り調査・確認したところ、1990年に米国アラバマ州のカタツムリから発見され、その後誰も発見したことのなかったダニであることが明らかとなりました。

 入村教諭はかねてからカタツムリの観察・研究を続けており、2015年には、近年千葉県内での分布が認められている「コハクオナジマイマイ」というカタツムリが、元来は西日本に生息していたもので、その寿命が1年であり、孵化したての2mm程の小さな状態で越冬することを生息地点の土壌を真冬に分析することで明らかにし、日本貝類学会誌、日本動物学会誌などで論文発表するなど、活動を継続してきました。

 今回の発見を受けて入村教諭は「今後もニュウムラカタツムリダニが野外でどのように生きているのか知るため、調査を継続したい」と意気込みを語っています。また、脇講師は「入村さんのひたむきな調査がこのダニの発見につながり、千葉県の生物相が一歩明らかにされた」とコメントしています。

発表論文

雑誌名:Species Diversity (Spec. Div.) (ISSN 1342-1670) 巻数 24、(2019)、11-15

論文タイトル:First Record of Riccardoella (Proriccardoella) triodopsis (Acariformes: Trombidiformes:Ereynetidae)from Japan, with Additional Morphological Information

著者:Tsukasa Waki*, Satoshi Shimano, Takahiro Asami

DOI番号:https://doi.org/10.12782/specdiv.24.11

アブストラクトURL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/specdiv/24/1/24_240103/_article/-char/en

添付資料

ニュウムラカタツムリダニ。
スケール: 0.1 mm
 

以上

お問い合わせ先

【本発表資料のお問い合わせ先】
東邦大学理学部生命圏環境科学科 講師 脇 司

〒274-8510 船橋市三山2-2-1
TEL: 047-472-1653

【本ニュースリリースの発信元】
学校法人東邦大学 法人本部経営企画部

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