プレスリリース 発行No.949 平成31年1月25日
霞ヶ浦の外来植物の分布拡大の実態が明らかに
~ 2013年からの5年間でほぼ倍増 ~
~ 2013年からの5年間でほぼ倍増 ~
東邦大学理学部生命圏環境科学科の西廣淳准教授の研究グループは、霞ヶ浦(西浦)で、2013年から2017年の5年間にわたり、外来生物法において特定外来生物に指定されているミズヒマワリとナガエツルノゲイトウ(それぞれキク科とヒユ科の水生植物)の分布調査を行い、その分布拡大の実態を明らかにしました。
霞ヶ浦の湖岸に1 km間隔で設けた122地点でそれぞれの分布状況を調査した結果、これらの植物の供給源と考えられる新利根川の河口を中心に、ミズヒマワリは、2013年には調査地点の25.4%に分布していたものが2017年には50.0%に増加しており、同じくナガエツルノゲイトウも徐々に分布地点が増加していることが確認されました。
また、分布が拡大しやすい場所の環境条件を明らかにするため、すでに定着した場所からの距離や波浪の強さなど、さまざまな要因の効果を統計的に分析した結果、ミズヒマワリは、「離岸堤」と呼ばれる、堤防と並行に設置される石積みの構造物がある場合には、そうでない場合と比べて、侵入しやすさが2.28倍に増加することが示されました。
離岸堤は、堤防の保護や堤防を越える波の発生を抑えるための構造物で、霞ヶ浦では2000年代に入ってから徐々に設置箇所が増えています。離岸堤ができると、離岸堤と既存の堤防との間に波の弱い穏やかな場所ができ、ミズヒマワリなどが定着・増加しやすい環境がつくられると考えられます。
この研究結果は、外来生物に関する国際誌 Biological Invasions に発表されました。
ミズヒマワリやナガエツルノゲイトウは、増加するとポンプ施設を詰まらせたり、水田雑草になるなどの悪影響をもたらすことが知られています。本研究により、水害リスクを下げるための施設が、外来種の増加という別のリスクをもたらすことが示されました。治水事業を進める上では、生態系の改変など多方面への影響を評価することが重要であると考えられます。
なお西廣准教授らは、霞ヶ浦の管理者である国土交通省関東地方整備局霞ヶ浦河川事務所や地元の自治体などの機関と連携し、外来植物の抑制や駆除の取組みを行っています。
霞ヶ浦の湖岸に1 km間隔で設けた122地点でそれぞれの分布状況を調査した結果、これらの植物の供給源と考えられる新利根川の河口を中心に、ミズヒマワリは、2013年には調査地点の25.4%に分布していたものが2017年には50.0%に増加しており、同じくナガエツルノゲイトウも徐々に分布地点が増加していることが確認されました。
また、分布が拡大しやすい場所の環境条件を明らかにするため、すでに定着した場所からの距離や波浪の強さなど、さまざまな要因の効果を統計的に分析した結果、ミズヒマワリは、「離岸堤」と呼ばれる、堤防と並行に設置される石積みの構造物がある場合には、そうでない場合と比べて、侵入しやすさが2.28倍に増加することが示されました。
離岸堤は、堤防の保護や堤防を越える波の発生を抑えるための構造物で、霞ヶ浦では2000年代に入ってから徐々に設置箇所が増えています。離岸堤ができると、離岸堤と既存の堤防との間に波の弱い穏やかな場所ができ、ミズヒマワリなどが定着・増加しやすい環境がつくられると考えられます。
この研究結果は、外来生物に関する国際誌 Biological Invasions に発表されました。
ミズヒマワリやナガエツルノゲイトウは、増加するとポンプ施設を詰まらせたり、水田雑草になるなどの悪影響をもたらすことが知られています。本研究により、水害リスクを下げるための施設が、外来種の増加という別のリスクをもたらすことが示されました。治水事業を進める上では、生態系の改変など多方面への影響を評価することが重要であると考えられます。
なお西廣准教授らは、霞ヶ浦の管理者である国土交通省関東地方整備局霞ヶ浦河川事務所や地元の自治体などの機関と連携し、外来植物の抑制や駆除の取組みを行っています。
資料
発表論文
Ji Yoon Kim, Tokuya Yano, Ryo Nakanishi, Hiroki Tagami, Jun Nishihiro
“Artificial wave breakers promote the establishment of alien aquatic plants in a shallow lake”
Biological Invasions, https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10530-019-01915-z
“Artificial wave breakers promote the establishment of alien aquatic plants in a shallow lake”
Biological Invasions, https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10530-019-01915-z
以上
お問い合わせ先
【本発表資料のお問い合わせ先】
東邦大学理学部生命圏環境科学科 准教授 西廣 淳
〒274-8510 船橋市三山2-2-1 TEL/FAX:047-472-3512
E-mail: jun.nishihiro[@]env.sci.toho-u.ac.jp
※E-mailはアドレスの[@]を@に替えてお送り下さい。
【本ニュースリリースの発信元】
学校法人東邦大学 法人本部経営企画部
〒143-8540 大田区大森西5-21-16
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