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プレスリリース 発行No.941 平成30年11月19日

環境省レッドリストで“情報不足”扱いの希少植物
「クサシャジクモ」の自生集団を発見
~ 東邦大学理学部生命圏環境科学科の学生が千葉県佐倉市の水田で ~

 東邦大学理学部生命圏環境科学科3年生の伊東樹明君が、本年3月11日、同学部公認サークルである「里山応援隊」の活動で訪れた佐倉市内の水田で、環境省レッドリストで“情報不足”(減少が危惧されるが、生育状況等の情報が不足しており、現状が不明である種のカテゴリー)とされている希少植物「クサシャジクモ」の自生集団を発見しました。
 クサシャジクモはシャジクモ科の水生植物の一種です。国内では沖縄県と千葉県でしか分布が知られておらず、また千葉県での記録は、1970年代に「県立船橋高校の人工野外水槽へ移植された水草に含まれていた」という報告があるのみで、正式な自生記録が無かったものであり、今回の発見は千葉県内、及び本州で初の正式な自生記録となります。
 この発見は、関係者の連名で、去る9月1日に福井県敦賀市で開かれた「水草研究会」の年次大会で発表され、論文は12月に同会発行予定の「水草研究会誌」108号に掲載される予定です。概要は下記の通りです。


1、発見日

2018年3月11日

2、場所

千葉県佐倉市下志津の通称「畔田谷津」の水田
*「谷津」:台地辺縁に発達する小規模な谷、谷戸

3、発見者

伊東樹明(東邦大学理学部生命圏環境科学科3年生)

*「里山応援隊」:東邦大学理学部生物学科の長谷川雅美教授の声かけで2009年に設立された理学部公認サークル。千葉県内の水田での農作業や周辺の竹林などの活動を、地域住民や市民団体の方々と協力して行っている。

4、資料

5、保全への示唆

 今回、環境省レッドリストにおいて「情報不足」であるクサシャジクモの分布・生育状況が確認されたことにより、今後、本種の絶滅危惧ランクが確定できることが期待されます。クサシャジクモの自生が確認された佐倉市畔田地区の谷津は、台地上の都市開発などがあまり進行しておらず、辺縁部からの湧水も豊富な湿地です。千葉県北部~茨城県南部には、谷津が数多く存在しています。今後、より広範囲で調査をすることで、さらに重要な発見が期待できます。一方、一部の地域では、谷津の価値が評価されないまま、埋め立てなどの開発が進められています。残された谷津を生物多様性と生態系の機能の両面から評価し、計画的に保全していくことが望まれます。

以上

お問い合わせ先

【本発表資料のお問い合わせ先】
東邦大学理学部生命圏環境科学科 准教授 西廣 淳

〒274-8510 船橋市三山2-2-1 TEL/FAX:047-472-3512
E-mail: jun.nishihiro[@]env.sci.toho-u.ac.jp
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【本ニュースリリースの発信元】
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