プレスリリース 発行No.848 平成29年12月26日
東邦大学メディカルレポート
「年末年始の旅行での健康管理のポイントについて」~ 楽しい旅行にするための健康管理とは ~
「年末年始の旅行での健康管理のポイントについて」~ 楽しい旅行にするための健康管理とは ~
東邦大学羽田空港クリニック(所長:籾山 浩一)、同羽田空港国際線クリニック(所長:原 規子)では、旅行者の病気・けがの治療や必要に応じた専門施設への搬送等、旅行者の安心・安全と健康の管理にあたる中から、旅行前後の健康管理についての知見蓄積に努めています。長い休暇となる年末年始を前に、特に航空機を使った遠方への旅行に際しての健康管理のポイントをまとめてお知らせします。
記
旅行出発のおよそ1週間前からの健康管理のポイント
- 栄養、睡眠を十分にとる。 出発の数日前からは食事と睡眠を十分にとって健康状態を良好に保っておくことが大切です。風邪を引いている場合は、無理をせず休養を十分にとって出発までに快方に向かうよう心がけましょう。風邪を引いていると機内の気圧変化から激しい頭痛や中耳炎を起こしたり、体調不良から自律神経の調節が悪くなり意識を消失する事もあります。
- 持病がある人はかかりつけ医に行く。常備薬を携行する。 旅行の期間や訪問先のことなども医師に相談し、健康状態をチェックしてもらいましょう。常用薬の携行は必須です。天候不良などで予定の便に乗れないこともありますので、全旅程を数日超える分の常備薬を入れておくと安心です。薬剤情報提供書やお薬手帳を携行することもお勧めします。また、心疾患などの重篤な病気がありながら渡航する場合は、薬と処方箋の他に担当医に書いてもらった診断書を持っていきましょう。
- インフルエンザに気をつける。
今年は既にインフルエンザが流行期に入っています。
インフルエンザにかかると1~4日(平均2日)の潜伏期間のあと、38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が突然現れ、併せてのどの痛みや鼻汁などの症状も見られます。
「飛沫感染」を防ぐうがい、「接触感染」を防ぐ手洗いをこまめに行うとともに、外出時にマスクを着用することも予防には効果的です。予防接種を済ませていない人はなるべく早めに接種することをお勧めします。 航空会社によっては高熱を伴う病気の人の搭乗を見合わせる場合もあります。 体調がおかしいと感じた時は、放置せずに医療機関を受診しましょう。
旅行当日の健康管理のポイント
- 空港施設内での過ごし方。
東邦大学羽田空港クリニックが行った調査によると、羽田空港におけるインフルエンザ流行のピークは、東京でのピ-クと必ずしも同一ではなく、全国におけるピークと同じ時期になることが分かっています。
これは、流行期を迎えた地域との航空機による人の行き来によってインフルエンザウイルスが持ち込まれることによると考えられます。
様々な地域の人が出入りする空港施設には高い感染リスクがあります。体を冷やすと免疫力が低下して感染症の罹患リスクが高まりますので、搭乗手続き時や待合場所などでも薄着をせず、体を温かく保って過ごすようにしましょう。 - 機内の温度・湿度変化に気をつける。
航空機内の気圧はおよそ0.8気圧で富士山5合目に相当し、酸素量は地上の80%程度です。湿度も5~15%と低く、サハラ砂漠よりも乾燥した状態です。 また、航空機内は気密性が保たれ、かつ長い時間多くの人が同じ空間を共有していることから、インフルエンザをはじめとした飛沫感染の感染症にかかるリスクがあります。感染を防ぐには適宜マスクを着用したり、重ね着できる衣類を用意して脱ぎ着するなどして、機内で体調を崩さないようにすることが大切です。 - ロングフライト血栓症の発症を予防する。
ロングフライト血栓症は、下肢の筋肉内の静脈である深部静脈に血栓ができるもので、この血栓がはがれて静脈内を流れ、心臓を経て肺に詰まると死に至ることもあります。
6時間以上のフライトの場合、発症の危険性があります。
予防には、次のような工夫をすることが大切です。
・2~3時間毎に席を立って軽く機内を歩く。
・こまめに水分をとる。
・ゆったりとした服装で搭乗する。
・血行を悪くするので、なるべく足を組まない。
海外の旅行先での健康管理のポイント
- 暑い国に渡航する場合は、日本との寒暖差に気をつけるとともに、熱中症や脱水、過度な日焼けに注意しましょう。旅行先ではスケジュールを詰め込みがちですが、体調が悪い時は無理をせず休み、余裕をもって行動しましょう。
- 生水を飲むことは避けましょう。
渡航先によりますが、水道水は必ずしも安全ではありません。氷も同様です。
渡航先の水に信頼が持てないようであれば、きちんと加熱された水、あるいは信頼のおける有料の水を飲みましょう。
帰国時の健康管理のポイント
- 帰国前日は休養と睡眠を十分にとる。 旅行では気づかぬうちに体力を使っています。帰国の当日や翌日から仕事という人も多く、疲れたままの体で新年の仕事を始めた結果、体調を崩すといったケースも少なくありません。帰国前夜は旅行先での最後の晩を大切にしながらも、十分な睡眠をとり疲労回復に努めましょう。
- 体調が悪い時は迷わず相談。
帰国当日に高熱や下痢症状がひどいままの状態で空港に着いた場合は、まず空港の検疫所に相談しましょう。
以上
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