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プレスリリース 発行No.847 平成29年12月25日

東邦大学メディカルレポート
~ 冬場に怖い食中毒について ~

 東邦大学医療センター大森病院感染管理部(大田区大森西6-11-1)では、各種院内感染対策、感染症全般の医療コンサルテーション、HIV診療を主な業務とし、幅広い感染症領域・分野を対象に様々な活動を行っています。
 師走を迎え、忘年会など外食の機会が増えるシーズンとなりましたが、この時期に気をつけなければいけないものに食中毒があります。
 食中毒と言えば、一般的には夏場に多いと思いがちですが、実は患者数では夏よりも冬のほうが多いくらいで、その原因の大半はノロウイルスによるものです。
 家族や友人との楽しい食事が食中毒感染につながったりしないよう、ノロウイルスを中心とする冬場の食中毒について分かりやすくお伝えします。

ノロウイルスはどのようにして感染するか、症状はどのようなものか

 手や指に、または食品や食器にノロウイルスが付着した状態で食事をすることによってウイルスが体内に入り、下痢や嘔吐、吐き気や腹痛、微熱などを伴う感染性胃腸炎を引き起こします。ノロウイルスは感染力が非常に強いため、大規模な集団感染を起こすことがあります。発症するとおおむね1~2日で症状は改善に向かい、通常は後遺症もありません。健康で体力のある人はウイルスに感染しても発症しないことがありますが、逆に、体力の弱い子供や高齢者では重症化しやすいため危険です。
 なお、ノロウイルスにはワクチンはありませんので、医療的な予防法はありません。従って、あくまでも感染を防ぐよう注意をすることが大切です。

ノロウイルスの予防について

  1. 手洗い  
      最も重要な予防方法は手洗いです。この時期に流行するインフルエンザウイルスと同様に、外での食事、自宅での食事を問わず、調理の前後、食事前、配膳時、トイレ後には必ずよく手を洗いましょう。

  2. 食品の加熱  
      ノロウイルスは牡蠣などの2枚貝の生食によるものが多いと言われています。  
      冬場にこのような貝類を食べる際は、基本的には十分に加熱したものを食べるようにし、生食をする場合は、きちんと洗浄・殺菌処理が行われたものを食べるよう気をつけましょう。また、貝類を調理したまな板、包丁、トングなどはウイルスが付着している可能性がありますので、その後十分に洗った上で使うようにします。  
      一方で、今年、東京都内の小学校を中心に1,200人が感染した食中毒で、刻みのりに付着したノロウイルスが原因と特定されたように、乾燥した食品で食中毒を起こした例もありますので、食中毒に関する警戒の範囲を広く認識しておくことが必要です。

  3. おう吐物・下痢便の処理、及び消毒  
      マスク・手袋を着用し、雑巾・タオル等でおう吐物・下痢便をよくふき取ってください。  
      ふき取った雑巾・タオルはビニール袋に入れて密封し捨ててください。 嘔吐物等が乾いた状態で舞い上がったほこりの中にウイルスを吸い込むことで感染することもありますので、注意が必要です。  
      衣服や物品、おう吐物を洗い流した場所の消毒は次亜塩素酸系消毒剤(濃度:200ppm以上)を必ず使用してください。

食中毒を起こさない食事の注意について

 肉類にはカンピロバクター(鳥類等)、寄生虫(豚肉等)など食中毒の原因となるものが少なくありませんので、必ず加熱して食べるようにしましょう。また、ジビエ(野獣、野禽類)については、しっかりと処理されたものを食べるようにしましょう。
 サバ、イワシ、鮭、イカなどに寄生しているアニサキスは、季節に関わらず生で食べる際に取り込む可能性がありますので注意が必要です。加熱もしくは冷凍されたものを食べるか、生食をする場合には、きちんと調理されたものを食べるようにしましょう。

ノロウイルスなどへの感染が疑わしい場合

 下痢・腹痛などの症状があり感染が疑わしい時は、躊躇せずに学校や会社を休み医療機関を受診することが、重症に至らせないようにする上で大切です。

以上

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