プレスリリース 発行No.804 平成29年8月8日
夏休みの海外旅行での健康管理のポイントについて ~ 楽しい旅行にするための健康管理とは ~
東邦大学羽田空港国際線クリニック(所長:原 規子)では、国際線旅行者の病気・けがの治療や専門施設への搬送等、日々の業務にあたる中から、海外旅行前後の健康管理についての知見蓄積に努めています。
夏休みやお盆休みを利用した海外旅行のシーズンに向けて、健康管理のポイントをアドバイスとともにお知らせします。
記
夏休みやお盆休みを利用した海外旅行のシーズンに向けて、健康管理のポイントをアドバイスとともにお知らせします。
●健康管理は、出発の数日前から
- 出発の数日前からは栄養、睡眠を十分にとって健康状態を良好に保ち、体の抵抗力を高めておきましょう。夏は寝ている間に脱水症状を起こしやすくなりますが、寝不足と脱水は健康を損なう大きな要因となりますので、寝る前には適度に水分補給することをお勧めします。
- 出発前に自分の健康状態をチェックしましょう。
普段かかりつけの医師がいる人は、旅行のことについて医師に相談することをお勧めします。持病がある場合は、常用薬を準備し機内に持参しましょう。
一般的な薬であれば空港内の医療機関で処方してもらうことは可能です。
- 渡航する先で、感染症が流行していないかどうか調べておきましょう。
出かける国やエリアについて、外務省や厚生労働省がホームページで注意喚起していないかどうかを必ず確認し、注意喚起されている場合は服装などの適切な準備と、必要に応じてワクチン接種を受けるなどの対処をした上で出かけることが大切です。
●旅行当日の健康管理について
- 航空機内の気圧はおよそ0.8気圧で富士山5合目に相当し、酸素量も地上より20%も少なくなっています。また、湿度も5~15%とサハラ砂漠よりも乾燥した状態で、気管支ぜんそくや関節リウマチの持病のある人には好ましい環境とは言えません。旅行前・当日と十分な健康管理をして出かけるようにしましょう。
- 6時間以上搭乗する場合、ロングフライト血栓症を発症する危険性があります。
下肢筋肉内の静脈に血栓(血液のかたまり)ができるもので、これが静脈内を流れ、心臓を経て肺に詰まるとたいへん危険です。
この血栓症の予防には、機内で次のような工夫をすることも大切です。
・ゆったりした服装で搭乗する。
・2~3時間毎に軽く機内を歩く。
・血行が悪くなるので、なるべく足を組まない。
・こまめに水分をとる。
- 格安航空会社を利用する場合は、早朝や深夜に出発するためにラウンジで長時間過ごすなど、日頃とは異なる生活リズムになる場合があり注意が必要です。
・ゆったりできる場所を確保して、リラックスして時間を過ごしましょう。
ベンチ等で寝ることは、健康管理上あまり好ましくありません。
・十分な睡眠と水分補給を心がけましょう。
●渡航先での過ごし方について
- 暑い国に渡航する場合は熱中症や脱水、過度な日焼けに注意しましょう。
旅行先ではついつい予定を詰め込みがちですが、体調が悪い時は無理をせず、スケジュールを変更することや休息することも大切です。
- 生水を飲むこと、生ものを食べることは避けましょう。
渡航先によりますが、水道水は必ずしも安全ではありません。氷も同様です。
出来る限りきちんと加熱された水、または信頼のおける有料の水を飲みましょう。
また、食事は野菜や果物も含めて生ものを避け、加熱した料理を摂るようにしましょう。
- 蚊やダニに刺されないように気をつけましょう。
服装に気をつけ、虫よけスプレーなどを携行することも大切です。
虫よけスプレー・虫よけ剤は、虫よけ成分であるディート(DEET)配合のものをお勧めします。
(※ディート配合スプレーは、商品説明書の用法・用量を守って使用してください。)
- 性交渉での感染が報告されている病気もあります。
行きずりの性交渉で病気に感染する恐れがあることを忘れないようにしましょう。
特に、ジカウィルスの感染・流行地域に渡航した場合は、帰国しても8週間は性交渉時にはコンドームを使用する、あるいは性交渉をしないことをお勧めします。
- 海外旅行からの帰国者にはしかの感染者が増えています。
日本国内とは違い、海外には思わぬ感染症のリスクがあります。
旅行中、知らず知らずのうちに体力が弱っているところに感染症が忍び寄ることはよくあります。体調がおかしいと感じたら、放置せずに現地の医療機関を受診しましょう。
●帰国前日から帰国当日の健康管理のポイント
- 帰国前日には、睡眠時間を削ってまで観光したり遅くまで食事をしたりしがちですが、機内や帰国してからの体調悪化の原因となることも少なくありません。食事に気をつけ、なるべく睡眠を十分にとって帰国の途につくようにしましょう。
- 帰国当日に高熱や下痢症状がひどいままの状態で出発空港に着いた場合は、まず空港の検疫所に相談しましょう。
- 小さな子供連れの場合には、さらなる注意が必要です。
子供は自分で体調をコントロールしにくく、外部環境による体調変化も大人と比べてはるかに早く、激しくなりがちです。特に、乳幼児の場合は常に様子を確認し、こまめな水分補給としっかりとした食事、及び適度な休養を確保するようにしましょう。
旅程や食事なども子供のペースで調整することが大切です。
以上
東邦大学羽田空港国際線クリニック
羽田空港国際線旅客ターミナル1F
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