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プレスリリース 発行No.745 平成28年11月30日

空港利用者、空港従事者はインフルエンザにご用心を
~ 流行のピークは必ずしも東京と同じではない ~

 東邦大学羽田空港クリニック(所長:籾山 浩一)では、空港利用者・従事者の病気・けがの治療や必要に応じた専門施設への搬送等を通じ、大規模ハブ空港での安心・安全の確保や時期に応じた健康管理についての知見蓄積に努めています。
 2005年12月から2006年4月に当クリニックを受診してインフルエンザと診断された92例について、その内容を調査・分析したところ、大規模ハブ空港ならではの傾向が認められましたので、インフルエンザシーズンに向け、空港の特性にもとづいた医療情報としてお知らせします。

●1週間の平均気温が6℃を下回るとインフルエンザの症例が増加

 当クリニックが実施した上記調査によると、当クリニックを受診してインフルエンザに感染が認められた人の割合は、潜伏期間等を考慮した上で、1週間の平均気温が6℃を下回ると明らかに増加し、一方で、平均気温が6℃を越えて上昇すると症例数は減少しています。これは、羽田空港の旅行者数の増減とは関連しておらず、気候に関して週平均気温が6℃を下回った場合にインフルエンザが流行すると考えられます。

●羽田空港におけるインフルエンザ流行のピーク時は、全国でのピーク時と同じ

 同じ調査によると、羽田空港におけるインフルエンザ流行のピークは、東京でのピ-クと必ずしも同一ではなく、全国におけるピークと同じ時期になることが分かりました。
これはすなわち、流行期を迎えたエリアとの航空機による人の行き来によってインフルエンザウイルスが持ち込まれることによると考えられます。

●航空機内での感染に注意が必要

 航空機は外界に対して気密性を保つ特殊な空間であり、かつ多数の乗客・乗員が同じ空間を共有しています。インフルエンザが飛沫感染であることを考えると、航空機内での感染を防ぐことを心がけることが必要です。 すなわち、旅行者は必要に応じて重ね着などをして体を温かく保ち、冷やさないようにする。湿度の低い機内で鼻腔を乾燥から守るためにマスクをする。適度に水分を補給する、などの対策を行うことが大切です。

●空港施設内での感染に注意が必要

 インフルエンザが流行期に入っているエリアとの行き来によって、インフルエンザに感染した旅行者が持ち込んだウイルスが、空港内で更なる感染者を発生させていることが考えられます。これにより、さらにその家族や周りの人に感染が広まる可能性がありますので、旅行者はもとより、空港従事者はインフルエンザの流行期に入ったエリアが出た際には、働く場である羽田空港で感染機会が増加することを認識し、感染を防ぐ対策を充分に行うことが大切です。

●予防接種は早めに

 以上のようなことから、大規模ハブ空港である羽田空港を利用する旅行者及び空港の従事者は、全国のどこかのエリアでインフルエンザが流行期に入った場合には、羽田空港は感染の可能性の高い場所となることを認識し、早めに感染対策を行うことが重要です。

 インフルエンザワクチンは、予防効果が現われるまで2~4週間を要しますので、なるべく早めに接種を受けることをお勧めします。

以上

東邦大学羽田空港クリニック
羽田空港(国内線)第2旅客ターミナル1F

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