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プレスリリース 発行No.730 平成28年11月1日

大田区の小児救急医療体制について
~「大田区平日夜間子ども救急室」開設から10年~

 東京都大田区において、地域の開業医参加型の平日夜間子ども救急室のモデルとして、東邦大学医療センター大森病院に「大田区平日夜間子ども救急室」(通称「大田子ども」)が2006年4月に開設されて以来、本年で10年となりました。
 医師会、行政、二次医療機関小児科、薬剤師会との協力・連携のもと、一次から三次までの小児救急医療にあたってきた「大田子ども」の取組みの概要と、今後の課題等について下記にお伝えします。

1.大田区平日夜間子ども救急室(通称「大田子ども」)概要

①場所 東邦大学医療センター大森病院の救急室1室を使用
②診療日時 平日20時~23時(月曜を除く)、及び1月2日・3日の9時~17時
*月曜日は当院小児科が担当して対応。
③診療体制
  • 医師会員が、当院の非常勤医として15 歳未満の小児救急初療を担当。
  • 当院小児科の当直医2~3 人が通常の体制で、医師会員が検査・処置を必要と判断した症例及び二次救急以上を担当。
④運営体制
  • 当院は「大田子ども」を大田区より事業として受託。
  • 診療報酬は当院の収入とした上で人件費、保険などの経費を負担。
  • 患者家族への対応が必要な場合は当院が対応。
  • 円滑な運営と課題解決を図るための運営委員会を、小児科医会、薬剤師会、大田区、当院をメンバーとして4 か月毎に開催。
⑤資料

当院の平日夜間の小児科一次救急平均患者数推移(人/日)
当院の平日夜間の小児科一次救急平均患者数推移(人/日)

*「平日夜間」は、平日17 時~翌朝8 時30 分まで。

2.「大田子ども」開設までの経緯

1996年    大田区の3医師会へ小児救急医療に対する協力を要請
1998年    3医師会と合同で症例検討会を開始
2001年    休日全夜間二次救急制度対応(毎週末)
2002年    大森・蒲田両医師会舘で休日診療所を開始
2004年  4月 医師会有志と具体案を協議
2005年  2月 救急室検討委員会を開始
2005年  6月 大田区長へ陳情
2005年  9月 参加予定医師40数名に説明会を開催
2005年10月 運営準備委員会を開催
2006年  3月 試行開始
2006年  4月 平日5日間での本格運営開始

3.今後の課題について

 「大田子ども」が開設以来大きなトラブルなく継続され、活動として根付いてきたのは、医師会の先生方のご理解・ご協力をはじめ、全ての関係者の相互協力と連携によるものであり、深く感謝しております。
 その中から、ベテラン開業医と若手医局員のコミュニケーションや区内二次医療機関同士のネットワークなどが果実として生まれてきており、今後は他の小児医療分野への展開も望まれます。
 「大田子ども」の今後の発展のためには、運営、推進体制を維持していくための体制づくり(推進役の育成)や新規に開業した医師の協力・参加の働きかけ、出務医から当院当直小児科医に診療を引き継いだ患者さんの円滑な受け渡しのための検証、あるいは医師会員への当院電子カルテ操作の権限付与など様々な課題があります。
引き続き運営委員会を中心に協議・検討を重ねて改善を行い、さらに活動を広げていくことで地域医療に貢献できるよう取り組んでいきます。

(東邦大学医療センター大森病院小児科 准教授 松裏 裕行)

以上

お問い合わせ先

東邦大学 法人本部 経営企画部
〒143-8540 大田区大森西5-21-16
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