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プレスリリース 発行No.699 平成28年8月4日

夏休みの海外旅行での健康管理のポイントについて
~ 楽しい旅行にするための健康管理とは ~

 東邦大学羽田空港国際線クリニック(所長:原 規子)では、国際線旅行者の病気・けがの治療や、必要に応じた専門施設への搬送等、旅行者の安心・安全と健康の管理にあたる中で、海外旅行の前後における健康管理についての知見蓄積に努めています。
 夏休みやお盆休みを利用した海外への旅行に際しての健康管理のポイントを、医療機関の立場からのアドバイスと合わせてお知らせします。

●健康管理は、出発の数日前から

①出発の数日前からは栄養、睡眠を十分にとって良好な健康状態を保ち、体に抵抗力をつけておくことが大切です。夏は寝汗をかくことで、寝ている間に脱水症状を起こしやすくなりますが、寝不足と脱水は健康を損なう大きな要因となりますので、寝る前には適度に水分補給することをお勧めします。

②出発前には自分の健康状態をチェックしましょう。
気候の違いの大きい旅行先や、食事が普段とはかなり異なる旅行先などに出かける際には、それが体調面での変化要因となります。
旅行先で無理をしないようにするのはもちろんですが、普段かかりつけの医師がいる人は、予め旅行のことについて医師に相談することをお勧めします。
持病がある場合は、常用薬を準備し機内に持参しましょう。
一般的な薬であれば空港内の医療機関で処方してもらうことは可能です。

③渡航する先で、感染症が流行していないかどうか調べておきましょう。
出かける国やエリアについて、外務省や厚生労働省がホームページで注意喚起していないかどうかを必ず確認し、注意喚起されている場合は適切な準備と対処をした上で
出かけることが大切です。

●旅行当日の健康管理のポイント

①航空機内の気圧はおよそ0.8気圧で、これは富士山5合目の気圧に相当し、酸素量も地上より20%も少なくなっています。
また、湿度も5~15%とたいへん低く、サハラ砂漠よりも乾燥した状態になっています。
気管支ぜんそくや関節リウマチの持病のある人には気圧の低いところは好ましくありませんので、旅行前・当日と十分な健康管理をして出かけるようにしましょう。

②6時間以上搭乗する場合、ロングフライト血栓症を発症する危険性があります。
下肢筋肉内の静脈である深部静脈に血栓ができるもので、この塊りがはがれて静脈内を流れ、心臓を経て肺に詰まると死に至ることもあるたいへん危険な病気です。
この血栓症を予防するには、機内で次のような工夫をすることも大切です。
・ゆったりとした服装で搭乗する。
・2~3時間毎に席を立って軽く機内を歩く。
・血行が悪くなるので、なるべく足を組まない。
・こまめに、かつ十分に水分をとる。

③格安航空会社の航空機を利用する場合は、早朝や深夜に出発する便を利用するためにラウンジで長時間過ごす必要があるなど、日頃とは異なる生活リズムになる場合があり、注意が必要です。
・ゆったりと休息できる場所を確保して、リラックスして時間を過ごしましょう。
 空港内のベンチ等で寝ることは、健康管理上あまり好ましくありません。
・十分な睡眠、水分の補給を心がけてください。

●渡航先での過ごし方のポイント

①暑い国に渡航する場合は、熱中症や脱水、過度な日焼けに注意しましょう。
日差しの強い国へ旅行する場合は、帽子や折り畳みの日傘を持参しましょう。
旅行先ではスケジュールを詰め込みがちですが、体調が悪い時は無理をせず休み、余裕をもって行動しましょう。

②生水を飲むことは避けましょう。
渡航先によりますが、水道水は必ずしも安全ではありません。氷も同様です。
渡航先の水に信頼が持てないようであれば、きちんと加熱された水、あるいは信頼のおける有料の水を飲みましょう。
また、食事は野菜や果物も含めて生ものを避け、過熱した料理を摂るようにしましょう。

③蚊やダニに刺されないように気をつけましょう。
服装に気をつけ、虫よけスプレーなどを携行することも大切です。
虫よけスプレー・虫よけ剤は、虫よけ成分であるディート(DEET)配合のものをお勧めします。

④性交渉での感染が報告されている病気もあります。
行きずりの性交渉で病気に感染する恐れがあることを忘れないようにしましょう。
特に、ジカウイルスの感染・流行地域に渡航した場合は、帰国しても8週間は性交渉時にはコンドームを使用する、あるいは性交渉をしないことをお勧めします。

●帰国前日から帰国当日の健康管理のポイント

①帰国前日にはつい食べ過ぎたり、睡眠時間を削ってまで観光したりしがちですが、機内での体調変化や帰国してからの体調悪化の原因となることも少なくありません。
食事に気をつけ(例えば、辛いものを食べ過ぎないなど)、なるべく睡眠を十分にとって帰国の途につくようにしましょう。

②帰国当日に高熱や下痢症状がひどいままの状態で出発空港に着いた場合は、まず空港の検疫所に相談しましょう。

③小さな子供連れの旅行の場合には、さらなる注意が必要です。
子供は自分で体調をコントロールしにくく、外部環境による体調変化も大人と比べてはるかに早く、激しくなりがちです。
乳幼児の場合は常に様子を確認し、こまめな水分補給としっかりとした食事を確保するようにしましょう。
旅程や食事なども子供のペースで調整することを心がけることが大切です。
以上
東邦大学羽田空港国際線クリニック
羽田空港国際線旅客ターミナル1F

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