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プレスリリース 発行No.656 平成28年1月19日

世界で初めてIoT機器向けの軽量な認証・暗号通信技術の実証に成功

 東邦大学理学部 金岡晃講師は、株式会社富士通研究所及び国立大学法人東京大学の落合秀也講師らとともに開発を進めてきた、IDベースの暗号技術を応用したIoT機器向け軽量暗号通信技術の実証に、このほど成功しました。

 大量の機器が相互接続されるIoT(Internet of Things)の環境では、お互いの認証や通信の暗号化が情報管理にとって重要な要素となりますが、従来のインターネット環境等で一般的に行われてきたTLS(Transport Layer Security)を用いた認証・暗号化通信は、IoT機器にとって処理負荷が大きいことが課題となってきました。

 この課題を解決するべく、今回、機器間の相互認証を従来の約1/5の処理量で可能にする技術をTLSに適用するよう開発し、その技術をIEEE 1888を使った東大グリーンICTプロジェクトのエネルギー管理システムへ試験的に導入して、実システムに適用可能であることを実証しました。
 
 実証実験に使われたシステムでは、IDベースの暗号技術の構築にあたって金岡講師が開発に携わった筑波大学のペアリング暗号ライブラリTEPLAが用いられており、また、実証実験の環境のひとつとして東邦大学の機器が用いられ、東京大学-東邦大学間で実際のIEEE 1888通信を本技術適用の上で行いました。

 従来に比べて処理負荷が少なくなった本技術により、IoT機器でも認証・暗号通信が可能になり、通信の機密性確保やプライバシー漏えいへの保護など、安全なIoTシステムの構築が可能となります。

 実証実験の概要は次頁のとおりです。

実証実験の概要

・空調機の管理をするIEEE 1888の疑似ゲートウェイを実証実験用に複数台開発し、東京大学に設置。
疑似ゲートウェイには、今回の技術であるIDベースの暗号技術を適用したOpenSSLを使ったIEEE 1888クライアントを搭載。

・IoT機器からの情報を蓄積するStorageサーバを東邦大学に設置。
今回の実証技術であるIDベースの暗号技術を適用したOpenSSLを使ったIEEE 1888サーバを搭載。

・空調設備の状態データ(ON/OFF状態、設定温度、室内温度等)を、疑似ゲートウェイから東邦大学に設置したStorageサーバに送信し、その処理にかかる時間等を計測。

・従来方式と比較し、通信にかかる時間が22%に削減され、通信のデータ量も16%に削減されたことが実証された。
 この実証研究の詳細は、1月19日(火曜日)から熊本市で開催される「暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2016)」にて発表されます。


以上

【お問い合わせ先】
東邦大学 法人本部 経営企画部
〒143-8540 大田区大森西5-21-16  TEL 03-5763-6583 FAX 03-3768-0660
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