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プレスリリース 発行No.609 平成27年7月1日

道路のCGをもっとリアルに
~夜間における乾燥道路の画像生成~
 
- 理学研究科 大学院生 画像電子学会で研究奨励賞 -

道路のCG映像において、これまで考慮されていなかった条件〔夜間における乾燥道路〕を組み込んだ画像を作成し、その忠実性が向上することを 理学研究科(情報科学専攻)大学院生の湯浅嵩さんらが確認しました。この成果は、2014年度画像電子学会年次大会において発表し、今年の5月 研究奨励賞が授与されました。
道路のCG映像はビデオゲームやドライブシミュレーターなどで広く用いられており、より写実的に表現されることが求められています。そのため、同じ道路においても状況に合わせCG表現を変化させることが必要となります。例えば、濡れた道路は乾燥した道路に比べ光の反射などが明らかに異なることが理解できることなどから、よく研究されています。一方で、乾燥した道路自体は、光の反射の詳細な状況を直感的に感じることが出来ないことから注目されておらず、研究されていませんでした。そのため本研究では、実際の夜間の乾燥道路を観察・分析し、それに基づき既存の技術で表現することを試みました。

道路の観察では、光源(ヘッドライト)側の車の視線〔視点A〕と対向車線側の車の視線〔視点B〕から、光の反射の要素を拡散反射(※1)と鏡面反射(※2)に分けて分析し、また光の反射面となる道路面の形状にも注目しました。

※1. 拡散反射 : 物体内部の散乱による光の反射。
照らされた表面の光が様々な角度で反射しているかのように見える。
※2. 鏡面反射 : 鏡のようにある方向から入った光が対向へ出て行く物体表面における反射。光源側からはその光を見ることが出来ず、対向側のみ確認できる。

拡散反射では視点Bからは従来の手法でCG表現されていたものよりも実際は暗い(拡散反射が弱い)ことがわかりました。すなわち、路面の凹凸による光の遮蔽を考慮する必要がありました。そこでOren-Nayarモデルを拡散反射モデルとして用いることにしました。
鏡面反射については、乾燥道路においても視点Bでヘッドライトによる強い鏡面反射が確認できましたが、街灯についてはほとんど確認できませんでした。これは、光の入射角が大きいヘッドライトなどでは反射率は高いが、入射角の小さい街灯では低いということから、これらを表現できるフレネル反射係数を用いることにしました。
道路面の形状においては、等高線データから路面にうねりがあることを確認し、ヘッドライトに照らされた路面ではハイライト位置が左右に変動することがわかりました。すなわち、乾燥道路のハイライト表現には、路面のうねりを表現する必要がありました。

これらの3つの要素を組み合わせて画像を生成した結果、それぞれを反映した表現ができ、その忠実性を向上させることを確認しました。この成果は、より忠実に実写を反映させる必要のある交通系シミュレーターや面白みの幅を拡げるゲームなどのCG映像に応用されることが期待されます。湯浅さんらは、今後これまであまり考慮されていなかった他条件(濃霧など)が反映された高速な画像生成に取り組んでいく予定です。

〈タイトル〉 夜間における乾燥道路の画像生成
〈 著 者 〉 湯浅 嵩、新谷 幹夫、白石 路雄
【お問い合わせ先】
 東邦大学 経営企画部 広報担当      森上 需
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