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プレスリリース 発行No.582 平成27年3月5日

東邦大学メディカルレポート

 紫外線から皮膚を守る
~ 紫外線の性質と影響を知って皮膚のリスクを防ぐ ~

 東邦大学医療センター大森病院スキンヘルスセンター(大田区大森西6-11-1、センター長:関東裕美)では、様々な環境要因が人の皮膚に及ぼす影響とその結果、及びその治療についての知見の蓄積に努めています。
 紫外線には人体に好影響を与える働きもある反面、皮膚をはじめ健康被害を与える要素も多く、強い紫外線に長い時間皮膚をさらすことはできる限り避けるべきとされています。紫外線の性質と影響について正しい知識を持ち、適切に対処することができるよう、医療機関の立場から、専門医師のアドバイスも交え、まとめてお知らせします。

●紫外線量の季節変化

 3月から10月は紫外線量が多く、皮膚に及ぼす影響も大きい季節です。

図:気象庁 日最大UVインデックスデータ(紫外線の多い日が出現した月別の比率グラフ)
UVインデックスが「3-5中程度」の日には、できるだけ日陰を利用し、長袖や帽子を着用することがふさわしいとされており、また「8-10非常に強い」「11-極端に強い」日にはできる限り日中の外出を避けるべきとされています。

●紫外線が皮膚に及ぼす影響について

急激に紫外線を多く浴びることで起こる症状には一般的に以下のようなものがあります。
①日焼け
②紫外線角膜炎
③免疫機能低下
継続的に紫外線を浴びることによって起こる症状には以下のようなものがあります。
①肌のしみ、しわ・・・光老化
②脂漏性角化症(老人性疣贅)・・・良性腫瘍
③日光角化症・・・前がん症
④有棘細胞がん、基底細胞がん、悪性黒色腫・・・皮膚がん
⑤白内障などをはじめとした目の障害
また、紫外線がアレルゲンとなって起こる紫外線(日光)アレルギー症状には以下のようなものがあります。
①かゆみ
②湿疹、蕁麻疹
③水ぶくれ

紫外線異常には、紫外線に対して体内で作られる抗体が一定量を超えたことによって起こる内因性光過敏反応として生じる発熱、湿疹反応、蕁麻疹などがあります。
一方外因性の光過敏反応として、使用している化粧品や薬などが紫外線を吸収して光毒性或いは光アレルギー性反応を生じることが知られています。
外因性のものでは、局所反応として化粧品香料やケトプロフェン湿布薬などによるもの、全身反応としては抗菌剤や降圧利尿剤による光過敏性皮膚炎が知られています。
自己免疫能を不安定にさせる紫外線と人体の関連については、幅広い理解と認識を持つことが望まれます。

●紫外線による炎症や腫瘍など皮膚の障害に関する治療についてについて

光の当たるところ(前額、鼻、頬、耳、手背など)に?痒や発疹が出た場合は、膠原病のサインである場合もありますし、薬剤や日常使用している製品が原因のこともありますので、できる限り早い診断と治療を行うことが大切です。
皮膚がんは悪性黒色腫が有名ですが、自覚症状がない赤みのある疣状のものは前がん状態のことがありますので躊躇せずに専門の医療機関で診断を受けることが肝心です。

早期に診断を受けて適切な処置を行えば、手術のみで根治し傷は小さくて済みますが、腫瘍増勢の速い皮膚がんでは拡大切除後植皮手術をしても転移を繰り返すこともありますし、また放射線治療に反応せず予後不良になることもあります。
皮表から生じる皮膚がんには 有棘細胞がん、基底細胞がん、悪性黒色腫などがありますが、どれも無防備な紫外線暴露により発生リスクが上がってしまいます。

●紫外線のリスクから皮膚を守るには

皮膚の抗老化には、遮光と保湿が最も大切です。
早春は紫外線の照射量が急に多くなる季節ですが、まだその強さを感じず、無防備に紫外線を浴びてしまいがちで、光線過敏反応を起こすことにつながります。
この時期にこそ光過敏性皮膚炎を予防するためにしっかりと遮光することが大切です。
長袖の衣服の着用やつばの大きな帽子をかぶるなどの服装の工夫は、紫外線を直接浴びないようにすることに効果的です。
 
スポーツやレジャーなどの屋外活動で直接紫外線に皮膚をさらす場合は、サンスクリーン剤(SPF30以上PA+++以上)を使って遮光しましょう。
紫外線吸収剤に刺激を感じる人のうち、沁みて違和感のある人は紫外線散乱剤の”ノンケミカルタイプ“といわれる製品を使用するようにします。
長時間屋外活動をする時にはSPF50、PA++++など強力な製品を使用する必要がありますが、数値が高い製品を使えば安心というわけではありません。
自分の皮膚質に適した製品を選ぶようにしましょう。

サンスクリーン剤は、汗で落ちてしまうと効果はなくなりますので、発汗状況でこまめに塗り足すことが重要です。サンスクリーン剤が汗で流れ落ちるのを防ぐには、粉末タイプのファンデーションの重ね塗りも大切で、2時間ごとに粉をたたくようにすると効果的です。
汗と汚れはこすり過ぎないようにして適切に洗顔し、十分に保湿しましょう。

夏季でも気温や湿度の環境変化の中で乾燥のコントロールができないと刺激が大きくなって炎症を引き起こしますので、屋外活動などで皮膚をさらした後は十分な洗顔と保湿を施すよう心がけましょう。
(東邦大学医療センター大森病院 皮膚科/スキンヘルスセンター 関東裕美臨床教授)

以上

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