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プレスリリース 発行No.574 平成27年1月21日

東邦大学メディカルレポート

 ヒートショックから身を守る
~ 冬場に起こりやすい突然死の原因を知り予防する ~

 東邦大学医療センター大橋病院 救急集中治療科(東京都目黒区大橋2-17-6、診療部長:櫻井 貴敏)では、特に冬場に増える脳血管疾患及び虚血性心疾患を含む循環器疾患の予防に関する知見の蓄積に努めています。
 冬の時期、屋内でも暖房で暖かい部屋などと暖房のない脱衣所や浴室との温度差が10℃以上になると、温度の低いところに移動した際に、短時間での環境の激変により血圧の急激な上昇や下降が引き起こされます。これを「ヒートショック」といいます。
 血圧が急激に上昇した場合、脳出血や脳梗塞、あるいは心筋梗塞などで死亡する恐れがあり、逆に、急激に低下した場合は脳貧血を引き起こす危険があります。
このように、冬場に怖いヒートショックを防ぐために気をつけたいことなどを医療機関の立場から、専門の医師のアドバイスも交え、まとめてお知らせします。

●冬場に多い循環器疾患

よく知られていることですが、外気温が低くなり、また朝晩の気温差が大きくなる冬場は特に循環器疾患の多くなる季節です。
厚生労働省 心疾患-脳血管疾患死亡統計の概況(平成16年) 人口動態統計特殊報告

特に、生活習慣病は脳心血管イベントの大きなリスクファクターであり、血圧は冬場に上昇する傾向がありますので血圧測定をしっかり行うなど、日頃から留意する必要があります。

ヒートショックの影響を受けやすい人

以下のいずれか、もしくは複数の条件にあてはまる人は、ヒートショックの影響を受けやすいので、冬場の日常生活の中で気温差のある場所を移動する際には注意する必要があります。
  ①65歳以上の人
  ②高血圧・糖尿病・動脈硬化の病気がある人
  ③肥満気味の人
  ④睡眠時無呼吸症候群など呼吸器官に問題のある人
  ⑤不整脈がある人
  ⑥熱い風呂が好きな人
  ⑦飲酒後に入浴する人

●冬場の入浴時のヒートショックによる疾患

入浴のために暖かい部屋から移動して脱衣の際にヒートショックを受け、その結果血圧の急上昇が起こると、めまいで倒れたり、重篤な場合には脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などを引き起してしまうことがあります。
また、浴室内に入ってからも、めまいを起こして倒れたことでけがをしたり、また浴槽内で意識を失って溺れたりする危険があります。
いずれも瞬時の出来事ですので対処の方法がなく、また、発見が遅れると大事に至ることも少なくありませんので、ヒートショックを起こさないようにすることがこのような急な疾患から身を守ることにつながります。

●ヒートショックの予防、対策

①脱衣所や浴室の暖房
体を急激な温度変化にさらさないようにするため、あらかじめ脱衣所や浴室を暖房して、温度を上げておきましょう。
②高温での入浴を避ける
熱いお湯に入ると血圧が急激に下がることにつながりやすく、ヒートショックを受けやすい人にとっては危険が高まります。
寒い日だからといって、ことさら熱いお湯に入るようなことは避けるべきです。
③長風呂をしない
熱いお湯でなくても、お風呂につかると血管が拡張して徐々に血圧が低下します。
高齢者や生活習慣病のある人は体温の維持機能が弱く、また血圧の変化への対応力が低下していますので、のぼせたり、失神したりする危険があります。
お風呂のお湯を適度な温度に設定し、なるべく長風呂は避けるようにしましょう。
④入浴前の水分補給
入浴中体は汗をかきますので、徐々に体の水分が失われていきます。
結果として、気がつかないうちに脱水症状を起こすこともあることに留意しておきましょう。脱水症状を起こすと体温調節機能が著しく低下し、失神したりする危険があります。体温調節機能が低下している高齢者では、特に入浴前には水分を補給しておくことが大切です。

●冬場のゴルフ場などで気をつけたいこと

冬場のスポーツでは、室内から屋外に出る際に大きな温度変化を受けることになります。
それは入浴の際に脱衣所で起こるヒートショックを同様の状況と考えておく必要があります。特にゴルフなどでは、プレーに伴う緊張感なども相まって一気に血圧が上昇し、脳の血管が破裂する危険もあります。冬場に、気温の低いところでスポーツを行う際は、十分な防寒対策を行ったうえで、予め体を動かして温めたうえで屋外に出るようにしましょう。

以上

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