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プレスリリース 発行No.418 平成25年3月12日

米国西海岸に漂着した日本の浮桟橋に注目
日米の海洋生物研究者が合同調査
~震災がれきとともに太平洋を渡る海洋生物~

 東邦大学が米国海洋生物研究者を招き、2013年3月19日(火)~20日(水・祝) 青森県三沢市三沢漁港において、日米合同の生物調査が行われます。東邦大学からは風呂田利夫 教授(理学部生命圏環境科学科)と多留聖典 訪問研究員(理学部東京湾生態系研究センター)が参加します。
 この調査は昨年6月に米国オレゴン州の海岸に漂着した浮桟橋から日本由来の生物が多く確認されたことに端を発します。漂着物に付いていた生物が外来種として米国に定着する可能性もあることから、流出元である三沢漁港において生物調査が行われます。

 近年、様々な地域から日本にやってくる外来種が問題になる一方で、米国の海岸域では、アサリやイソガニなどといった日本で馴染みのあるベントス(底生生物:カニや貝など水底に潜む生物)が外来種として定着しています。地域によっては、ベントスがほとんど外来種に置き換わってしまったり、漁業対象種を食い荒らすなど被害は深刻で、現地では新たな侵入を非常に警戒しています。
米国西海岸に漂着した日本の浮桟橋に注目 日米の海洋生物研究者が合同調査

 そうした中、2012年6月 米国オレゴン州の海岸に貨物車ほどもある巨大な浮桟橋が流れ着きました。これは、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震に伴う津波)によって青森県の三沢漁港から流出したもので、その表面には多数の生物が付着していました。現地では外来種の侵入・定着を防ぐために直ちに付着した生物の焼却処分を行うとともに、現地の研究者ジョン・チャップマン 博士(オレゴン州立大学ハットフィールド海洋科学センター)のグループがどんな生物が付着していたかを詳細に調べました。その結果、カニやヒトデ、海藻など約100種もの生物が確認されました。

 これまで米国西海岸には大量の震災がれきが漂着しており、今後もさらに増えると考えられます。このことは付着した生物も一緒に流れ着くことを意味しており、現地の生態系に深刻な影響を与える可能性が指摘されています。
 そこで本調査では、流出元である三沢漁港において同様の浮桟橋に付着する生物の種組成を調査し、漂着した浮桟橋の種組成と比較することで、今後も震災がれきと一緒に漂着する可能性のある生物を明らかにします。
 日本からは風呂田教授を始めとする国内の海洋生物および各分類群の研究者5名が、米国からはジョン博士を含む3名が参加されます。その他にも種組成の解析において、国内の様々な研究者が携わる予定です。 。

日米海洋生物研究者 合同調査『 震災がれきとともに太平洋を渡る海洋生物調査 』

【日時】 3月19日(火)~20日(水・祝)
【場所】 三沢漁港(青森県三沢市大字三沢字浜通)


 風呂田教授はジョン博士と友人であったことから、本調査の依頼がありました。そこで風呂田教授は、ジョン博士らが日本で調査できるよう招聘し、さらに国内の協力研究者の調整を行うなど日本側のまとめ役を務めています。

【お問い合わせ先】
東邦大学 経営企画部 広報担当 / 理学部 東京湾生態系研究センター   森上 需
〒274-8510 千葉県船橋市三山2-2-1   E-mail: press@toho-u.ac.jp
TEL/FAX:047-494-8571    M Phone: 090-8722-8471