プレスリリース 発行No.379 平成24年9月25日
東京湾 小櫃川河口干潟でギボシムシ類を初確認
~ 東京湾内湾部では2例目 132年ぶり ~
千葉県木更津市の小櫃川河口干潟において、ギボシムシ類が初めて採集(複数個体)されました。東邦大学理学部生物学科 西川輝昭 教授らが採集個体の形態精査とDNA分析を行った結果、これらはミサキギボシムシとギボシムシ科の1種(種名は不明)の2種であることを確認しました。東京湾内湾部でのギボシムシ類の確認は、1880年に横浜で採集されたハネナシギボシムシの記録のみで、それ以来 132年ぶりの記録となります。 |

ギボシムシ類は、体長が数cmから大きいもので2m以上にもなるミミズ状の生物で、海底の砂や泥の中に生息しています。頭部の形態が橋や神社の手すりに取りつけられる飾りの“擬宝珠”(ぎぼし)に似ていることから、この名がつきました。国内では、8種が記録され、それ以外にも複数種が生息していると言われています。物理的な刺激で容易に切れたり潰れたりするなど体が非常にもろいため、完全個体の採集が容易でない生物です。そのため、破片などが見つかることはあってもその存在を知られることはあまりなく、珍しい生き物とされてきました。
小櫃川河口干潟でギボシムシ類の生息が確認されたのは、2012年4月8日 本学理学部生命圏環境科学科の風呂田利夫 教授らが干潟生物の調査中に、生物の破片のようなものを見つけたことがきっかけでした。海産無脊椎動物の分類を専門とする西川教授にその写真を見せたところ、ギボシムシ類の尾部の一部である可能性が高いと判断されました。そこで6月3日と7月4日に 多留聖典 博士(本学理学部東京湾生態系研究センター)らが改めて現地調査を行ったところ、ギボシムシ類が複数個体採集されました。その形態を西川教授が精査するとともに、共同研究者である広島大学大学院理学研究科付属臨海実験所の浦田 慎 助教がDNA分析を行った結果、〔ミサキギボシムシ〕と〔ギボシムシ科の1種(種名は不明)〕の2つが含まれていることが分かりました。
〔ミサキギボシムシ〕は在来種で、東京湾湾口部に位置する神奈川県三浦市や千葉県館山市の沿岸部周辺にも生息していることから、そこで生まれたプランクトン状態の幼生が小櫃川河口干潟に流れ着いて成長したと考えられます。西川教授は、「小櫃川河口干潟にはミサキギボシムシが昔から生息していたが個体数が著しく少なかったためにこれまで見つからなかったのか、最近になって幼生が成長できるようになったのかはわからない」としながらも、「今回、連続的に見つかったのは、個体数が増えているためかもしれない」としています。
もうひとつの〔ギボシムシ科の1種〕については、今のところ国内の既知種にぴったりあてはまる種がいないので、今後研究を続けてその正体を解明していく必要があります。
西川教授は、湾岸部の埋立などによる干潟の消失や過度の富栄養化による底質の酸素欠乏から、東京湾内湾部ではギボシムシ類が見つかることはないだろう、と考えていたといいます。今回、東京湾内湾部に位置する小櫃川河口干潟でギボシムシ類が確認されたことは、驚きとともに喜ばしいことであり、今後も継続的に観察を続け、生態情報などを収集・蓄積していくとのことです。
〔ミサキギボシムシ〕は在来種で、東京湾湾口部に位置する神奈川県三浦市や千葉県館山市の沿岸部周辺にも生息していることから、そこで生まれたプランクトン状態の幼生が小櫃川河口干潟に流れ着いて成長したと考えられます。西川教授は、「小櫃川河口干潟にはミサキギボシムシが昔から生息していたが個体数が著しく少なかったためにこれまで見つからなかったのか、最近になって幼生が成長できるようになったのかはわからない」としながらも、「今回、連続的に見つかったのは、個体数が増えているためかもしれない」としています。
もうひとつの〔ギボシムシ科の1種〕については、今のところ国内の既知種にぴったりあてはまる種がいないので、今後研究を続けてその正体を解明していく必要があります。
西川教授は、湾岸部の埋立などによる干潟の消失や過度の富栄養化による底質の酸素欠乏から、東京湾内湾部ではギボシムシ類が見つかることはないだろう、と考えていたといいます。今回、東京湾内湾部に位置する小櫃川河口干潟でギボシムシ類が確認されたことは、驚きとともに喜ばしいことであり、今後も継続的に観察を続け、生態情報などを収集・蓄積していくとのことです。
【お問い合わせ先】
東邦大学 経営企画部 広報担当 / 理学部 東京湾生態系研究センター 森上 需
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