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プレスリリース 発行No.361 平成24年7月3日

東邦大学と日本IBM、医療分野のビッグデータ分析システムを開発
電子カルテシステムの時系列データやテキスト情報をプロセス分析

学校法人東邦大学(所在地:東京都大田区、理事長:炭山嘉伸、以下、東邦大学)と日本アイ・ビー・エム株式会社(本社:東京都中央区、社長:マーティン・イェッター 、NYSE:IBM、以下日本IBM)は、医療機関におけるデータ活用の推進や患者主体の医療の質や安全性の向上を目指し、電子カルテシステムのテキスト情報や時系列データを分析するシステムを開発しました。
電子カルテシステムには、検査や治療などの医療サービスの内容、検査結果、診断名など、患者毎にさまざまな形態で存在する大量の時系列データがあります。さらに、医師が手入力で追加したテキスト情報もあります。エビデンスに基づいた医療への関心が高まる中、これらのデータを統合的かつ多角的に分析・可視化することにより、医療の質の向上や安全性の向上に役立つのではないか、という仮説のもと、東邦大学と日本IBMにて昨年4月から12月の8カ月間、共同研究開発を行いました。

この共同研究は、顧客とIBMの研究者が協力しながら先進的なソリューションを作り出すことを目的としたIBMの「First-of-a-Kind(FOAK)プログラム」の一環です。東邦大学医療センター大森病院(病院長:小原 明)の医療・医学分野の豊富なノウハウとIBM東京基礎研究所のテキスト分析、プロセス・セマンティック技術を含む研究開発成果を活用しました。

今回の開発においては、東邦大学医療センター大森病院の電子カルテシステムで管理する5千万件以上のレコードをもとに、検査結果や診断名といった定型的な患者情報と、診療記録などのテキスト形式の記述から約94%の精度で抽出された「血圧」や「体重」などの情報を統合した分析システムが完成しました。分析システムでは、特定の疾病や検査値を有する患者集団の時系列的な変化と診療プロセスから、経過表分析、診療プロセスの俯瞰(パスウェイ俯瞰)、プロセス検索・分析などの多様な可視化・分析手法を行うことによって知見を獲得することができました。この分析システムを活用した呼吸器疾患患者の東日本大震災による影響分析は、学会で発表されました。また、シミュレーションにおいて気管支鏡後の副作用事例や高脂血症後の副作用事例などの分析にも有効であることが確認されており、今後さらに多くの事例に適用する予定です(※別紙添付「診療プロセス分析画面例」)。

東邦大学は診療の質や患者サービスの向上のための研究を積極的に行っており、高い診療レベルを維持しています。東邦大学医療センターの3病院では、総合的な医療情報システムが稼働しており、IBM® CIS(Clinical Information System)ソリューションが採用されています。東邦大学では、開発した分析システムを活用しながら、分析の有効性をさらに検証し、医療の質向上に役立てていく予定です。

IBMでは、膨大な情報を活用し、より確かな意志決定支援や新たなビジネス、サービスの創造を促進する「BAO(ビジネス・アナリティクス・アンド・オプティマイゼーション)」を強化しています。定型化された構造化データとテキスト情報のような非構造化データという多様でありかつ長期間にわたる膨大なデータを扱うなど、ビッグデータの分析は今後さらに注目される技術であり、今後もアナリティクス関連の分野に注力していきます。

【お問い合わせ先】
学校法人東邦大学 (法人本部システム部 根岸)
〒143-8540 東京都大田区大森西5-21-16
電話:03-5763-6517

日本アイ・ビー・エム株式会社 (広報 下岡)
〒103-8510 東京都中央区日本橋箱崎町19-21
電話:03-3808-4768
E-mail:masakos@jp.ibm.com