プレスリリース 発行No.295 平成23年12月12日
第17回 国際生物物理学大会
生物分子科学専攻の大学院生 国際学会で受賞
~ケージド化合物の研究において~
2011年10月30日(日)~11月3日(木・祝) 中国北京で行われた第17回 国際生物物理学大会において東邦大学大学院理学研究科 生物分子科学専攻の寺岡 葵さん(博士後期課程1年)がYoung Scientists Travel Awardを、星田智子さん(博士前期課程2年)がBest Poster Awardをそれぞれ受賞しました。これは、研究の成果やプレゼンテーションなどが総合的に評価された結果です。 |
大学院理学研究科 生物分子科学専攻の古田研究室では、細胞内あるいは細胞間の情報のやりとりを、高い時間および空間分解能で操作し、リアルタイムで解析する研究手法を開発しており、「細胞機能を制御するケージド化合物の開発」を主な研究テーマとしています。
ケージド化合物とは、生理活性分子に光で働くスイッチを付けて、その活性を光でオン(またはオフ)にできる機能性分子のことで、付ける場所・機能に応じたスイッチを有機合成により作成します。これまでの研究で、遺伝子に光で働くスイッチを付けてケージド遺伝子にすることに成功しています。この技術を使うと、狙った遺伝子を任意のタイミングで、好きな場所に発現させることも可能となり、働きの分かっていない遺伝子の機能を解明することに貢献することができます。しかし、完全オフの状態を作り出せない、光照射後の発現量が少ない、など多くの課題が残されています。
ケージド化合物とは、生理活性分子に光で働くスイッチを付けて、その活性を光でオン(またはオフ)にできる機能性分子のことで、付ける場所・機能に応じたスイッチを有機合成により作成します。これまでの研究で、遺伝子に光で働くスイッチを付けてケージド遺伝子にすることに成功しています。この技術を使うと、狙った遺伝子を任意のタイミングで、好きな場所に発現させることも可能となり、働きの分かっていない遺伝子の機能を解明することに貢献することができます。しかし、完全オフの状態を作り出せない、光照射後の発現量が少ない、など多くの課題が残されています。
このような背景のもと、ケージング試薬の添加(ケージング)により遺伝子発現を完全にオフの状態をつくりだすことを目標に、寺岡さんと星田さんはより効率よく標的遺伝子をケージングすることを、それぞれのアプローチで試みました。
寺岡さんは、ケージングされたDNAを精製するための目印を持つケージング試薬を設計し、ルシフェラーゼ(発光タンパク質)遺伝子のケージングを試みました。その中からケージングされた標的遺伝子(ケージドDNA)のみを取り出すことで、ルシフェラーゼ発現の完全オフを目指しました。その結果、ルシフェラーゼの発現量が、ケージド化していない遺伝子から得られた発現量に比べ、大幅に抑えることができました。
一方 星田さんは、ケージング試薬をルシフェラーゼ発現に必要な塩基配列(標的遺伝子)へ特異的に添加できるよう、標的遺伝子の塩基配列に相補的な塩基配列を持つケージド試薬を設計し、ケージングを試みました。その結果、標的遺伝子の塩基配列を目印として選択的にケージングでき、その効率も大幅に向上しました。
国際生物物理学大会(International Biophysics Congress)
IUPAB(国際純粋および応用生物物理学連合)が主催する生物物理学分野の最も大きな国際大会で、3年に1度 開催されています。17回目を迎えた今大会は、アジア地区(北京)において33年ぶりの開催で、10月30日~11月3日の日程で行われました。各国から集まった参加者により400件近くの口頭発表と700件以上のポスター発表があり、活発な議論が交わされました。
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東邦大学 経営企画部 広報担当 森上 需
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