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プレスリリース 発行No.276 平成23年10月27日

生薬部 新開発!緑茶カフェイン測定法
~簡単・高速・高精度の分析可能に~

東邦大学 生薬部の岡本正幸さん(薬学部3年生)を中心としたグループがまとめた論文「簡便で迅速な緑茶カフェインの測定法」が(財)緒方医学化学研究所・医学生物学速報会 「Medicine and Biology」(第155巻12号2011年12月発行)に受理されました。通常 カフェインの測定は、複雑な処理を含めて長い時間を要するのですが、生薬部が開発した方法は、分光光度計だけを用いた簡便な操作で、時間の大幅な短縮、測定精度の向上を実現しました。この成果は、東邦大学習志野キャンパスにて行われる学園祭『第50回 東邦祭』(11月11日(金)~13日(日))において発表する予定です。
生薬部 新開発!緑茶カフェイン測定法

 近年、食品に含まれる成分と健康の関係性について、一般市民だけでなく研究者の間でも注目されています。その中でもカフェインは日常的に摂取され、また苦味成分として味覚に影響を与えていること等、私達の健康や食生活に大きく関わっています。
 カフェインは、コーヒーやココア、お茶など身近な飲み物に含まれており、主に覚醒作用の効果が知られている植物由来の有機化合物です。植物から発見されている有機化合物には、多種多様な効果をもつものが知られており、その効果は人体にとって毒にも薬にもなります。

 生薬部では、“おいしい!”を科学的に捉えることを目的に、緑茶を材料にその成分と人の味覚との関係について調べており、その中で生薬部の岡本さんを中心としたグループ(佐久間さん、上原さん、内田さん、蘆原さん、江見さん、稲見さん)は、カフェインの含有量の測定を試みていました。一般に、飲料中のカフェイン量の測定には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が利用されます。しかし、この測定法では高価な器材が必要で、また試料の複雑な処理を含めて長い時間を要します。このことが研究を進める上で弊害となっていました。

 そこで、岡本さんらは緑茶に含まれるカフェインを、分光光度計のみを用いて迅速かつ簡単に測定する方法を開発しました。この方法のポイントは緑茶の試料を4℃で2分間冷却し、上澄み液を使用することです。試料をそのままで測定すると、カフェインとほぼ同じ吸光度をもつ成分も含まれていたため、うまく測定できませんでした。しかし、冷却することでカフェイン以外の成分が沈殿することを発見し、この方法を完成させました。本測定法の確立は、これまで高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で約1時間も掛かったところを、3分という短時間での測定を可能にしました。さらに特筆すべきことは、従来よりも精度よく測定できるということです。
 生薬部では、この開発した測定法を 11月11日(金)~13日(日) 東邦大学習志野キャンパスで行われる学園祭『第50回 東邦祭』において発表する予定です。 

東邦大学生薬部

顧問の小池一男教授、部長の日橋亮太さんを中心とする部員数120名で活動しています。半世紀近い歴史を持っており、薬草園の一般公開時の案内や東邦祭での学術発表などを主に取り組んでいます。本測定法を開発したグループは、“おいしい!”を科学的に捉えることを目的として人の味覚とお茶の成分とを比べる実験を行っています。

〈論文タイトル〉 Rapid measurement of caffeine in green tea with a UV/vis spectrometer
〈著者〉 Masayuki OKAMOTO et al .
〈掲載誌〉 Medicine and Biology 155巻12号(2011年12月 発行)

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東邦大学 経営企画部 広報担当      森上 需
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