プレスリリース 発行No.195 平成23年2月24日
外来生物が外来生物を食べていた!
~ヒロヘリアオイラガとヨコヅナサシガメの相互作用~
いつの頃からかサクラなどの木の上でよく見かけるようになったヒロヘリアオイラガとヨコヅナサシガメは、共に外来生物です。
ヒロヘリアオイラガは年2化性(年に2世代)で、その幼虫はサクラやカエデ、ケヤキなどの樹木に生息し、営繭期になると幹を伝って地上近くにおりてきて繭をつくり蛹となります。幼虫はその葉を食し食害をもたらし、また体表に毒棘を有し、これに刺されるとひどく痛むため衛生害虫としても問題となっており、日本の侵略的外来種ワースト100に記載されています。
ヨコヅナサシガメは、ケヤキやサクラ、カキノキなどの樹幹に集団で生息する捕食性昆虫です。営繭期になって樹の上部から降りてきたヒロヘリアオイラガの幼虫も捕食します。本種は見た目の不快感から、不快害虫と認識されている地域があります。
本研究では、ヨコヅナサシガメがヒロヘリアオイラガに与える捕食の影響を定量的に調べることを目的に、両種の生息する桜並木において、「ヨコヅナサシガメの有無」と「ヒロヘリアオイラガの繭の数」の関係を、ヒロヘリアオイラガの第1世代、第2世代の両方について調べました。その結果、主に 第2世代時のヒロヘリアオイラガが成長したヨコヅナサシガメに捕食され、繭数を減らしていることがわかりました。このことは、翌年のヒロヘリアオイラガ第1世代の発生量を抑制するように働いている可能性があることを示しています。
〈 著 者 〉中野貴瑛・瀧本 岳
〈 掲 載 誌 〉昆蟲(ニューシリーズ) 14(1) 2011年1月25日 発行
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