プレスリリース 発行No.168 平成22年10月25日
- シマヘビはどこからきてどう進化したのか -
伊豆諸島 祗苗島のシマヘビ 巨大化の秘密 明らかに
~寿命 30~40年、海鳥の卵・雛を捕食~
祗苗島のシマヘビが巨大であることは以前から知られており、神津島の成熟したシマヘビの体長は約150cmに対し、祗苗島では なんと 体長 約200cm、体重1kgを超すサイズで巨大です。
長谷川教授は1984年以来、シマヘビの長期個体群調査を続けており、以下のことが明らかにされてきました。
伊豆諸島に生息するシマヘビは、カエル類を主食とする本土集団と比較して、
・主にトカゲ類を捕食する島嶼(伊豆大島)では矮小化する
・オオミズナギドリなどの海鳥の卵と雛を捕食する島嶼(祗苗島)では巨大化する
・その他の島では本土と同程度の体サイズである
しかし、餌生物の大きさと体サイズには相関関係はありましたが、因果関係は不明でした。
本研究では、祗苗島のシマヘビの初期成長が悪く、ある大きさになってから成長が非常に良くなっていくことがわかりました。これは小さい時にはトカゲ類しか食べることができないが、ある一定の大きさ(120cm 以上)になった時から海鳥の卵と雛を食べることができるようになり、成長が良くなることを示しています。また、長期にわたる時間経過と体サイズの関係から、寿命が30~40年(神津島では最長15年)であることがわかりました。このように、祗苗島におけるシマヘビの巨大化は、体サイズ120cm以上になると、食性がトカゲから海鳥の卵へ変化することよる良好な成長と長寿命が要因であることが明らかとなりました。
さらに、このようなシマヘビの体サイズの進化が、島嶼に移入後、島々の餌環境に適応した結果であるのか遺伝子レベルでの解析を行いました。その結果、明らかになったことは以下の2点。
●伊豆諸島のシマヘビは、西日本由来と東日本由来の2集団を起源とし、60~30万年前に
伊豆諸島に渡ってきた
●巨大化した祗苗島のシマヘビのミトコンドリア遺伝子は、すぐ隣の神津島に生息する小さな
シマヘビと全く同じであり、祗苗島の巨大化が短期間で迅速な進化の結果起きたものと推定された
本研究の成果は、生物の進化・分散機構を解明する上で重要な情報になる他、生物の群集構造、その構築過程を解明するのに役立つものとなります。
対象論文
●Takeo Kuriyama, Matthew C. Brandley, Akira Katayama, Akira Mori,Masanao Honda and Masami Hasegawa A time-calibrated phylogenetic approach to assessing the phylogeography, colonization history and phenotypic evolution of snakes in the Japanese Izu Island (←こちらが “Journal of Biogeography” に掲載されます)
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