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プレスリリース 発行No.005 平成20年7月16日

アリアケモドキ 30年ぶりに東京湾内湾部で確認

干潟に棲むカニ類として知られるアリアケモドキが、東京湾内湾域では30年ぶりに確認されました。1978年本学理学部の風呂田利夫教授により、市川市の新浜湖で確認されて以来です。
アリアケモドキ 30年ぶりに東京湾内湾部で確認
今回確認されたのは市原市の八幡運河と椎津川河口域の水路。理学部生命圏環境科学科4年柚原剛さんの5月、6月の研究調査の際に採集され、抱卵個体もいました。2006年の房総半島に生息するカニ類の調査では、外房南部の丸山川・長者川河口で確認されていましたが、内房や東京湾内湾域では発見されていません。富津以北の東京湾内湾部で内部繁殖していることが確認されたことは、画期的なことです。

柚原さんの研究は、「東京湾周辺における埋立部水路の生物多様性の評価」として行われています。東京湾のかつての海岸線から現在の海岸線の間(埋立部)には多くの水路(運河)が通っており、そこには砂泥がたまり、ヨシの小さな群落なども見られ、小さな干潟を形成しているところがあります。埋立により海岸線が護岸され、干潟生物の絶滅が進む東京湾内湾部において、このような水路内の干潟も貴重な生息場所のひとつと考えられます。このような所をどのように保全するのかということも、東京湾の干潟生物の保全において重要な課題です。

〈アリアケモドキ Paracleistostoma cristatum〉甲殻類 十脚目スナガニ科
干潟上部の陸上のヨシやその他の草本類が生えている場所に生息するカニ。本州(青森)~九州、黄海沿岸に分布する。本種は希少な種で、生息地である干潟の後背地の植生がある場所は、宅地や工場用地に最も利用されやすく、千葉県内にほとんど残っていないのが現状であり、千葉県レッドデータブック(2000年)にも最重要保護生物として指定されている。

参考:千葉県(2000) 千葉県の保護上重要な野生生物-千葉県レッドデータブック-動物編 

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