分子生物学教室
所属教員
スタッフ名 | 主な担当 |
---|---|
多田周右/教授 | 分子生物学Ⅰ・Ⅱ、放射薬品学、基礎生物学実習、分子生物学・免疫学実習 |
東 祐太郎/准教授 | 免疫学Ⅰ・Ⅱ、基礎生物学実習、分子生物学・免疫学実習 |
津山 崇/講師 | 基礎生物学、基礎生物学実習、分子生物学・免疫学実習 |
がんの発症とその防御機構を分子レベルから探る
分子生物学教室では、さまざまな細胞からの抽出液やヒトのがんに由来した培養細胞を用いて、遺伝情報を維持する仕組みや免疫系のはたらきについて研究をしています。遺伝子DNAの複製、修復の異常は、がんの発症や老化など、さまざまな病気や細胞の異常に関わることが理解され始めています。そこで、これらのメカニズムがどのようにして信頼度を保っているのかについて興味を持ち、研究をおこなっています。また、免疫系の基本メカニズムはリガンド分子とレセプター(受容体)分子の結合と認識です。そこでリガンドとレセプター分子に焦点をあて、免疫応答の制御機構を分子レベルで明らかにしようとしています。研究成果から様々な生命現象、特に疾病の発症機構を分子レベルから捉えることで、長く元気に生活するための指針の構築や疾病の診断法、治療法の開発などにつなげ、人の健康に役立てたいと考えています。
教員からのメッセージ
細胞が増殖する過程では、ゲノムDNA上のすべての遺伝子を正確に過不足なく複製しなければなりません。DNAの損傷はDNA複製の信頼度を著しく下げるため、損傷の修復が遅れることで遺伝子の変異が生じ、がんをはじめとしたさまざまな疾患や生命活動の異常に結びつきます。また、免疫系は生体の感染防御だけでなく広く生命現象の調節機構として機能するため、その破綻は多くの疾患をひきおこします。分子生物学教室では、遺伝子から見たがんの発症機構や老化のメカニズム、がん細胞の貪食除去といった免疫応答の制御と病態における異常を解明することをめざしています。
DNA複製は、体の中で高い秩序を持って制御され、幾つものメカニズムで保護されて正確さを保っています。私たちは、その信頼性がどのように保障されているかを、培養細胞のゲノムやタンパク質のcDNAに対して人為的な変異を誘発することにより調べようとしています。また、高頻度にがんを発症する遺伝病や老化現象が誘発される遺伝病の多くが、DNAの動態や修復に直接、間接に関わるタンパク質の異常から引き起こされると考えられています。これらの遺伝病が、どのような局面でどのようにはたらいているメカニズムの異常により引き起こされるのかについても、分子レベルから詳しく解明しようとしています。
一方、免疫系の研究に関しては、ある種の抗がん剤で処理したがん細胞で、細胞死(アポトーシス)を誘発する前に、貪食に抑制的な細胞表面タンパク質(Don’t eat meシグナル)の放出・減少と正常細胞の表面にはなく抗がん剤処理により新たに細胞表面に現れる貪食を促進するタンパク質(Eat me シグナル)の増加が確認されました。そこで新しく増えるタンパク質を介した細胞貪食の機序・機構について現在研究しています。この機構が解明されれば、貪食細胞がどのようにして標的細胞だけを貪食する対象と判断しているのかがわかります。このようにがん細胞などの異常細胞が貪食細胞により貪食される機構を分子レベルで明らかにすることは、免疫細胞のがん細胞に対する積極的な傷害と貪食除去を可能とし、がん治療に、またがん以外の免疫性疾患の治療にも役立つことが期待されます。
普段の講義と違い、大学の研究には答えがありません。その代わりに新しい発見が必ずあります。その発見には多くの疑問や問題が含まれますが、それを科学的知識や根拠に基づいて解決するために努力し、解決できた時の喜びや新しいことを発見する醍醐味を味わってください。この経験が、きっとこれから皆さんが医療社会で起きた問題を解決するために必要な力を与えてくれるものと願っています。
DNA複製は、体の中で高い秩序を持って制御され、幾つものメカニズムで保護されて正確さを保っています。私たちは、その信頼性がどのように保障されているかを、培養細胞のゲノムやタンパク質のcDNAに対して人為的な変異を誘発することにより調べようとしています。また、高頻度にがんを発症する遺伝病や老化現象が誘発される遺伝病の多くが、DNAの動態や修復に直接、間接に関わるタンパク質の異常から引き起こされると考えられています。これらの遺伝病が、どのような局面でどのようにはたらいているメカニズムの異常により引き起こされるのかについても、分子レベルから詳しく解明しようとしています。
一方、免疫系の研究に関しては、ある種の抗がん剤で処理したがん細胞で、細胞死(アポトーシス)を誘発する前に、貪食に抑制的な細胞表面タンパク質(Don’t eat meシグナル)の放出・減少と正常細胞の表面にはなく抗がん剤処理により新たに細胞表面に現れる貪食を促進するタンパク質(Eat me シグナル)の増加が確認されました。そこで新しく増えるタンパク質を介した細胞貪食の機序・機構について現在研究しています。この機構が解明されれば、貪食細胞がどのようにして標的細胞だけを貪食する対象と判断しているのかがわかります。このようにがん細胞などの異常細胞が貪食細胞により貪食される機構を分子レベルで明らかにすることは、免疫細胞のがん細胞に対する積極的な傷害と貪食除去を可能とし、がん治療に、またがん以外の免疫性疾患の治療にも役立つことが期待されます。
普段の講義と違い、大学の研究には答えがありません。その代わりに新しい発見が必ずあります。その発見には多くの疑問や問題が含まれますが、それを科学的知識や根拠に基づいて解決するために努力し、解決できた時の喜びや新しいことを発見する醍醐味を味わってください。この経験が、きっとこれから皆さんが医療社会で起きた問題を解決するために必要な力を与えてくれるものと願っています。