医学部

メニュー

病理検体を用いた分子生物学的解析法による肺及び全身性真菌症の国内発生動向調査

研究の背景および目的

この度、東邦大学医学部病院病理学講座において「病理検体を用いた分子生物学的解析法による肺及び全身性真菌症の国内発生動向調査」を実施することになりました。
真菌症は、真菌(いわゆるカビ)によって引き起こされる感染症です。後天性免疫不全症候群、悪性腫瘍、膠原病など免疫能が低下している患者さんでは重症化することが知られています。昨今の医療の進歩は目覚ましく、移植医療の台頭、悪性腫瘍に対しての抗腫瘍薬の使用、生物学的製剤の自己免疫疾患等へのさまざまな疾患への適応の拡大といった化学療法の進化からも日和見感染のリスク要因は今後も上昇傾向を続けると考えられます。
近年、分子生物学的手技を用いることで細菌やウイルスなどの感染症の起因菌の診断精度の上昇につながっているが、真菌においては分離、培養における菌の同定が困難な症例が多く、分子生物学的な手法を含め、菌株同定の手法は十分とは言えないのが現状です。日和見感染において重症度の高い真菌感染症の位置づけの重要度は高いと考えられ、真菌感染症の診断の確立が急務であると考えられます。

研究対象および方法

本研究は1938年から2014年までに、当院において施行された真菌症の病理解剖例から各臓器の組織標本を作製して、in situ hybridization(ISH)やpolymerase chain reaction(PCR)等の分子生物学的手技を用いて菌株の同定を行います。この研究で得られる成果は、菌株を同定することで各々の真菌に感受性の高い抗真菌薬を選択する上で、非常に有用な手段であり、真菌感染症の診断や治療法の改善につながります。
以上、本研究では患者様の情報(年齢、性別、基礎疾患のみ)も解析対象として含んでおりますが、個人を特定できるような情報を利用した解析は行いません。
従って、本研究で得られた結果が医学的な専門学会や専門雑誌等で報告されることがありますが、研究対象者の方々が特定されることはありません。

病理解剖に同意されたご家族様へ

病理解剖の結果や提供して頂いた試料をこの研究に利用することに承諾されない場合は下記までご連絡下さい。
なお、この研究の実施には、日本医療研究開発機構(AMED)委託費(新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発研究事業)の公的研究費の支援を受けております。また本研究参加者の一部は企業からの研究寄付金を受けておりますが,抗真菌薬による治療の有無や効果についての情報を連結することなく、当施設で保管されている試料を収集して行う、後方視的臨床疫学研究として計画されているため、結果に関わるバイアス(人為的な影響など)はほとんど想定されず、この研究で生ずる利益相反状態は無いものと考えています。ここでお示ししたような、この研究の内容や研究寄付金に関してご質問のある方は下記までご連絡下さい。

連絡先および担当者

東邦大学医学部 病院病理学講座
研究責任者 若山 恵
講座責任者 澁谷和俊
連絡先:研究相談窓口
03-3762-4151(内線2222)
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151