精神神経医学講座(佐倉)
所属教員名
桂川 修一 / 教 授
小山 文彦 / 産業精神保健・復職支援センター長・教 授
林 果林 / 講 師
松﨑 淳人 / 講 師
加藤 祐樹 / 助 教
小山 文彦 / 産業精神保健・復職支援センター長・教 授
林 果林 / 講 師
松﨑 淳人 / 講 師
加藤 祐樹 / 助 教
運営責任者
講座の概要
当講座は、平成3年9月の東邦大学医療附属佐倉病院開院時に精神神経医学教室として黒木宣夫助教授(当時、のちに教授)が着任され始動しました。黒木教授の主導で産業精神保健分野での研究と活動に取り組み、平成19年10月には大学病院としては初となる「職場復帰支援プログラム(リワークプログラム)」に特化した精神科デイケアが開設され多職種によるチーム医療が開始されました。更に平成24年には産業精神保健・職場復帰支援センターが設置され、より一層の充実が図られています。また総合病院における精神科としての役割を意識し、リエゾンコンサルテーション分野での臨床研究はもとより、内科の肥満専門外来と連携したカンファレンスの開催や肥満患者の再発予防に関する共同研究を行っています。平成28年3月に黒木宣夫教授が退任され、現在は桂川修一教授と、平成28年10月より産業精神保健・職場復帰支援センターに着任された小山文彦教授を中心として教育・研究活動が続けられています。
研究の概要
産業精神保健分野
①職場復帰支援
2007年の産業精神保健・職場復帰支援センター開設以来、職場復帰支援プログラムの利用者は延べ600人を超えました。週5日のデイケア活動では、常勤の作業療法士、精神保健福祉士、看護師に加えて、産業医経験豊富な医師によるグループミーティングや心理教育プログラム、臨床心理士による認知行動療法などを通して、職場復帰に必要な準備性を高めるプログラムを行っています。また2013年よりフォローアップミーティングや職場からの情報提供を導入するなどし、いかに再休職することなく就労を継続できるかを検討しています。また最近では女性利用者を取り巻く問題や、職域との連携との在り方について研究し、発表を行っています。
②ストレスチェック制度
平成27年12月よりストレスチェック制度が法施行されましたが、当院ではそれに先駆けて平成22年よりWEB上でストレスチェック(職業性ストレス簡易調査票)を年1回実施し、健康支援室にて高ストレス者に介入してきました。その経験を生かして、今回のストレスチェック制度の導入にあたり主導的な立場で貢献しました。まさに平成28年度に実際の運用開始となった同制度ですが、労働者のプライバシーを守りながらの運用体制の確立、また結果を活用してのセルフケアの促しと職場の集団分析と職場環境の改善をいかに図るかなどの課題があり、実効性のある制度となるよう情報の集積と解析に取り組んでいきます。
③労災認定
精神障害による労災請求件数は1998年までは年間数十件程度でしたが、労災認定の判断指針が公表された1999年以降急激に増加し、2011年度は1272件、2012年度は1257件と近年はその件数は鈍化してきているものの高止まりの状態が続いており、実際の認定数も増加しています。黒木前教授は労災認定の新基準作成において主導的な役割を果たしてこられましたが、引き続き労災補償に関する調査研究を行ってまいります。
2007年の産業精神保健・職場復帰支援センター開設以来、職場復帰支援プログラムの利用者は延べ600人を超えました。週5日のデイケア活動では、常勤の作業療法士、精神保健福祉士、看護師に加えて、産業医経験豊富な医師によるグループミーティングや心理教育プログラム、臨床心理士による認知行動療法などを通して、職場復帰に必要な準備性を高めるプログラムを行っています。また2013年よりフォローアップミーティングや職場からの情報提供を導入するなどし、いかに再休職することなく就労を継続できるかを検討しています。また最近では女性利用者を取り巻く問題や、職域との連携との在り方について研究し、発表を行っています。
②ストレスチェック制度
平成27年12月よりストレスチェック制度が法施行されましたが、当院ではそれに先駆けて平成22年よりWEB上でストレスチェック(職業性ストレス簡易調査票)を年1回実施し、健康支援室にて高ストレス者に介入してきました。その経験を生かして、今回のストレスチェック制度の導入にあたり主導的な立場で貢献しました。まさに平成28年度に実際の運用開始となった同制度ですが、労働者のプライバシーを守りながらの運用体制の確立、また結果を活用してのセルフケアの促しと職場の集団分析と職場環境の改善をいかに図るかなどの課題があり、実効性のある制度となるよう情報の集積と解析に取り組んでいきます。
③労災認定
精神障害による労災請求件数は1998年までは年間数十件程度でしたが、労災認定の判断指針が公表された1999年以降急激に増加し、2011年度は1272件、2012年度は1257件と近年はその件数は鈍化してきているものの高止まりの状態が続いており、実際の認定数も増加しています。黒木前教授は労災認定の新基準作成において主導的な役割を果たしてこられましたが、引き続き労災補償に関する調査研究を行ってまいります。
総合病院精神医学分野
我が国の精神科医療の現状として、人口当たりの精神病床数が他の先進国と比較し突出して多いことがしばしば問題点として指摘されています。しかし総病床数約34万床の大部分は精神科病院にあり、総合病院の精神科病床は2013年度に約1万5千床と10年前と比較し5千床も減少しています。このことは身体合併症を有する精神疾患の患者さんが、十分な精神科的治療を受けられていない可能性があることを示唆しています。日本総合病院精神医学会では、これまで総合病院精神科の適正配置への取り組みを続けてきました。そして近年は精神科リエゾンチーム加算や総合入院体制加算Ⅰ・Ⅱの新設など、総合病院の中での精神科の存在価値が保険診療上も大きく評価されるようになりました。
肥満症患者の精神科的介入
肥満症はその食行動を引き起こすメンタル面への配慮が欠かせない心身症です。うつ病をはじめとする精神疾患の合併も多く、ある種の性格特性や能力の問題、心理社会的背景の問題が隠れている場合があります。そのため当院では1997年より多職種合同の肥満症事例検討会を開催するとともに、外科治療が予定されている肥満症患者の全例で精神科診察を行い、行動特性や性格傾向、能力の偏りを把握するためにロールシャッハテストや知能検査を行ってきました。我々の研究では、肥満症患者では社会生活上求められる資質不足から、物事の意思決定や行動選択において対処困難を伴いやすく、自身の感情を把握し調節・表出する力が未熟な傾向にあることが示唆されており、このような特性を治療者が認識したうえで、心身の状況を踏まえた集学的治療を行うことが重要であると考えられています。この分野では林講師が中心となり研究活動を行っています。
代表論文
- 小山文彦: 働く女性の治療と仕事の両立支援. 女性心身医学24(3), 269-272, 2020
- 小山文彦: 入院治療から見た外来精神医療. 外来精神医療20(1): 51-53, 2020
- 小山文彦: 職場の安全管理・労災防止とメンタルヘルス. 産業精神保健27(4), 318-321, 2019
- 小山文彦: 職場復帰とリワークプログラム. 精神科治療学34(1): 87-93, 2019
- 小山文彦: 精神疾患に罹患した労働者の治療経過・寛解に影響する要因と疾患群の標準的な療養期間に関する研究. 産業精神保健27(3), 175-181, 2019
- 小山文彦, 渡辺和広, 田村和佳子, 櫻井治彦: 建設業労働災害防止協会が取り組むメンタルヘルス対策の概要. 産業精神保健27(1): 6-11, 2019
- 小山文彦: 働き方改革とメンタルヘルス—治療と仕事の両立支援を中心に—. 外来精神医療19(2), 2019
- 小山文彦:外来精神医療と産業精神保健. 外来精神医療19(1): 8-12, 2019
- 小山文彦:くらし・仕事・メンタルヘルスと精神医療. 外来精神医療19(1): 61-64, 2019
- 小山文彦(著):精神科医の話の聴き方10のセオリー(2019年5月,創元社)
- 小山文彦(共著): 第11章 両立支援とレジリエンス. 職場ではぐくむレジリエンス—働き方を変える15のポイント. p166-173. 松井知子・市川佳居(編), 金剛出版, 東京, 2019
- 小山文彦: 働き方改革と健康経営. 心と社会50(3), 54-60, 2019
- 松田由美江, 小山文彦. 医療・リワーク現場と職域・関連機関の連携が奏功した4事例. 産業精神保健第27巻特別号, 2019
- 前田隆光, 小山文彦: メインシンポジウムⅡ当院のリワークプログラムの現状と課題. 外来精神医療19(1): 78-82, 2019
- 桂川修一,小山文彦,時田陽子,米倉 歩,龍野一郎,黒木宣夫:医療従事者のメンタル支援活動の報告.産業精神保健25(特別号):94-101,2017
- Hiroki Ikeda, Kotaro Kayashima, Takeshi Sasaki, Sachiko Kashima and Fumihiko Koyama: The relationship between sleep disturbances and depression in daytime workers: a cross-sectional structured interview survey. Industrial Health 55: 1-5, 2017
- 桂川修一,相川 厚,水野雅文,西村勝治:腎移植をめぐるリエゾン精神医学—レシピエントを中心にー.精神科治療学32(2):167-174,2017
- Karin Hayashi, Youichi Taira, Takamitsu Maeda, Yumie Matsuda, Yuki Kato, Kozue Hashi, Nobuo Kuroki, Shuichi Katsuragawa:What inhibits working women with mental disorders from returning to their workplace? -A study of systematic re-employment support in a medical institution. BioPsychoSocial Medicine 10:29, 2016
- Fumihiko Koyama: Collaboration between primary and industrial physicians in treatment of workers with mental health disorder. The Association of Ambulatory Psychiatric Service 16:80-85,2016
- 林果林,端こず恵,神前裕子,土川伶,浅海敬子,齋木厚人,龍野一郎,白井厚治,藤井悠,黒木宣夫,桂川修一:肥満症患者の心理的側面の特徴-ロールシャッハ変数の比較分析から—.心身医56(9),2016
- 林果林,加藤祐樹,黒木宣夫,桂川修一:ストレスと肥満、肥満から見たストレス、勤労者の肥満治療等. 産業精神保健 24 (特別号) :26 -30 , 2016
- Shuichi Katsuragawa:Bullying in Japan:A cultural perspective. The Association of Ambulatory Psychiatric Service 15:51-58,2015
- 林果林,松田由美恵,土川伶,端こず恵,藤井悠,山本喜久,黒木宣夫,桂川修一:大学病院における復職デイケア利用者にかかわる要因分析—復職要因と復職継続要因の検討—.産業ストレス研究21:191-199.2014
- Shuichi Katsuragawa:Family and Group Suicide in Japan:Cultural Analysis. WCPRR Jan 2009:28-32,2009
診療の概要
当講座では勤労者外来を開設しており、リワークデイケアでの取り組みも含めて勤労者が心身ともに健康を維持できるよう努めています。また産業医活動を通じて企業と連携するなど、産業メンタルヘルス活動が活発に行われています。また神経内科と共同し認知症疾患センターでの認知症専門外来の開設、肥満外科治療への参画、緩和医療への関与などを積極的に行っています。精神科病床は有しませんが、連携施設病院ならびに関連病院と連携して急性期治療にも対応し、一方では総合病院の特性である精神科患者の身体合併症対応や身体疾患に伴う精神症状や心理的社会的問題といったコンサルテーション・リエゾンサービスを積極的に展開しています。また臨床心理士によるカウンセリングや集団認知行動療法も実施しています。
その他
社会貢献
自治体の要請に応じて、精神保健指定医資格を有する医師による措置鑑定のための診察を行っています。また神経内科と共同で、認知症やアルコール依存症についての公開講座を毎年開催しています。
学会活動
平成25年 1月 第20回日本産業ストレス学会
平成27年 6月 第22回日本産業精神保健学会
平成28年11月 第24回日本産業ストレス学会
平成27年 6月 第22回日本産業精神保健学会
平成28年11月 第24回日本産業ストレス学会