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内科学講座糖尿病・代謝・内分泌学分野(大橋)

所属教員名

上芝  元/ 教 授
大平 征宏/ 准教授
河越 尚幸/ 助 教

運営責任者

講座の概要

2019年4月1日より上芝 元が教授に就任しました。当教室は所属教員3人と小人数ですが、チームワークよく外来、入院業務をこなしております。小規模ながら大学病院における臨床・研究・教育の3つの任務を粛々と遂行しています。研究は糖尿病・内分泌両分野とも臨床研究を中心に行っており、英文誌への報告も含め国内・国際学会への研究成果を発信しております。今後3年目の入局者を増やすべく努力中です。これまでは糖尿病学会認定教育施設で糖尿病中心の診療業務でしたが、2019年12月から甲状腺学会認定専門医施設と2020年4月から内分泌学会認定教育施設にそれぞれ登録できました。それにともない診療科名も糖尿病・代謝内科から糖尿病・代謝・内分泌内科に変更となりました。糖尿病、内分泌・代謝、甲状腺と3つの専門医の取得研修ができる教室となり、スケールアップしています。この分野に興味のある若手医師を募集しています。

研究の概要


  1. 糖尿病における新規配合注製剤に関する研究
    持効型のBasalインスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の配合剤で、1日1回投与で低血糖の発現頻度を高めることなく優れたHbA1cの低下と安定した血糖コントロールを実現する新規薬剤を使用し、投与開始された直後と1か月後、6か月後にQOL質問票による治療後の心理的負担感と満足度(DTR-QOL、DTSQ)がどのように変化していくかを分析する。
  2. 副腎皮質ステロイドホルモンの測定に関する研究
     副腎皮質ステロイドホルモンの測定において、これまでは交差反応の問題から多種類を同時一斉分析することは困難であったが、高速液体クロマトグラフィー (HPLC)とラジオイムノアッセイ(RIA)を組み合わせることにより、交差反応の問題を解決し、しかも試料量が血清100ulと微量ながら十数種類のステロイドホルモンを同時一斉定量分析できる新しい方法を開発した(HPLC/RIA法)。
    このHPLC/RIA法を用いて副腎疾患(Cushing症候群、先天性副腎皮質過形成)や他の内分泌疾患(末端肥大症、下垂体前葉機能低下症、甲状腺機能亢進症及び低下症など)におけるステロイドホルモンプロフィールを分析している。
  3. 甲状腺疾患と性ステロイドホルモンに関する研究
    甲状腺ホルモンとアンドロジェンは相互に影響を及ぼすことは報告されていたが、実際の甲状腺機能亢進症及び低下症患者において、アンドロジェンを測定し、その代謝を分析したところ、甲状腺機能亢進症では5a-reductase活性が亢進していることを明らかにした。甲状腺機能低下症では逆に5a-reductase活性の低下がみられた。これらは治療により改善がみられ、可逆的な変化であることを証明した。今後は男女別に分析して、性別による違いを明らかにしていく。
  4. 糖尿病及びメタボリックシンドロームと性ステロイドホルモンに関する研究
     副腎アンドロジェンの1つであるdehydroepiandrosterone(DHEA)及びその硫酸塩(DHEA-S)は、血中に豊富に存在するステロイドホルモンであり、抗糖尿病作用、抗動脈硬化作用、抗肥満作用、抗腫瘍作用、免疫調整作用などの生理学的作用が言われているが、明確なことはまだ明らかにされていない。糖尿病及びメタボリックシンドローム患者において、血中DHEA及びDHEA-Sを測定し、血糖コントロールが不良状態では、それらのステロイドホルモンは低下しており、治療とともに血糖コントロールが改善すると、上昇することを見い出し、それらはステロイド合成酵素17,20-lyaseの変化によることを証明した。男性ホルモンであるテストステロンは、メタボリックシンドロームの一部の症例では、低下しており、インスリン抵抗性と関連があることを見出した。低テストステロン血症を伴うメタボリックシンドローム男性や2型糖尿病男性では、テストステロン軟膏を使用することにより、インスリン抵抗性や脂質プロフィールの改善が見られることを証明していく。
  5. 降圧薬(カルシウム拮抗薬、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬、ACE阻害薬、α及びβ遮断薬)におけるインスリン抵抗性改善作用に関する研究
    本態性高血圧症や軽症糖尿病合併高血圧症例において、インスリン抵抗性が亢進している症例があり、それらはカルシウム拮抗薬、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬、ACE阻害薬、α及びβ遮断薬の一部の薬剤で、インスリン抵抗性を改善させることができることを見出した。カルシウム拮抗薬シルニジピンには、本態性高血圧症例において、降圧効果をもたらすとともに、インスリン抵抗性と血中アルドステロンレベルも低下させることを証明して、原発性アルドステロン症の内科的治療に応用できるか検討していく。
  6. 副腎偶発腫の研究
    厚生労働省の副腎ホルモン産生異常に関する調査研究班に属しており、わが国における副腎偶発腫の診療ガイドラインを作成していく。

代表論文

  1. Okahata S, Sakamoto K, Mitsumatsu T, Kondo Y, Noso S, Ikegami H, Shiba T:Fulminant type 1 diabetes associated with Isolated ACTH deficiency induced by anti-programmed cell death 1 antibody—insight into the pathogenesis of autoimmune endocrinopathy— Endocrine J 66(4):295-300, 2019
  2. Ichijo T, Ueshiba H, Nawata H, Yanase T:A nationwide survey of adrenal incidentaloma in Japan : the first report of clinical and epidemiological features. Endocrine J 67(2):141-152,2020
  3. 上芝 元:SGLT2阻害薬ダパグリフロジン追加投与で血糖コントロールの著明改善がみられた2型糖尿病の1例. 診療と新薬 57(2):119-122,2020
  4. 上芝 元:エコノミークラス症候群(ロングフライト血栓症). 産科と婦人科 87(4):412-414,2020

教育の概要

学部

三年次
糖尿病学総論/各論、内分泌学総論/各論

四・五年次(臨床実習)
Problem Based Learning、症例検討会

六年次(臨床実習)
4週間の選択実習

大学院

4年間の大学院の期間に臨床研究と基礎研究の両者に携わり、臨床の疑問から始まり、臨床に還元できるような研究を行います。極力ヒトと動物(マウス、ラットおよびモルモット)の両方で研究を行い、互いのデータを関連付けて、実際の診療向上を目指して進めていきます。生理学的な評価法と分子生物学的な評価法を組み合わせて、メカニズムを深く追及し、画期的な新規発見を目指していきます。

診療の概要

糖尿病、内分泌・代謝領域の疾患を対象として診療を行っております。糖尿病は2019年3月に厚生労働省から発表されたデータに糖尿病で通院している方の総数が過去最多の328万人超に、とあります。しかし、通院していない方や予備軍の方まで含めると約2000万人になるとも言われております。このことからも糖尿病は生活習慣病の代表的な疾患の1つと言えると思います。一方、糖尿病と診断されても、生活習慣を見直し努力すると一見治癒したかのように、健常者に近い生活を楽しめる方も多数いらっしゃいます。糖尿病は病状や重症度など病態が多岐にわたり、治療の目標も各々の方で異なり、専門的な観点からの治療を要する疾患です。糖尿病治療の最終到達点は健常な方と同等に楽しい生活を満喫し寿命をまっとうすることと言えると思います。そのためには、慢性合併症の発症予防とその進展抑制も重要です。これらの目標を達成するため包括的なチーム医療が有効です。当院では糖尿病のことをよく知る心温かい看護師、管理栄養士、薬剤師、検査技師、理学療法士などの医療スタッフがチームを組んで入院中の糖尿病教室を開催して、糖尿病の治療に積極的に参加しています。 また、下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、性腺を中心とした内分泌疾患、および脂質異常症、高尿酸血症を中心とした代謝疾患も数多く診療しております。病状によっては、他の診療科と協力して、診療にあたることも多くあります。大橋病院の総力をあげて、関連する各専門科と密接な連携をとり診断と治療を実施しております。

その他

社会貢献

当科では糖尿病友の会「清風会」があります。社団法人日本糖尿病協会は1961年にIDF(国際糖尿病連合)の一員として創設され、日本だけにとどまらず世界規模での糖尿病対策も視野に活動をつづけ、2021年には60周年を迎えます。日本糖尿病協会に加入する糖尿病「友の会」は、糖尿病患者さんとその家族、医師、看護師、栄養士、検査部、薬剤部など糖尿病診療に関わる医療スタッフで作られている会です。糖尿病「友の会」は、全国の約1,500の病院や診療所にあります。糖尿病の患者さん、糖尿病に関心のある人、医療関係者など、どなたでも入会することができ、糖尿病の勉強会、食事療法に基づく料理教室、患者さん同士の情報交換会、歩く会などを通じて交流を行います。月刊『糖尿病ライフさかえ』も毎月届きます。

学会活動

数多くの国際・国内学会に演題が採択されて、研究成果を発表している。

  • 国際学会
     米国糖尿病学会(ADA)
     国際糖尿病学会(IDF)
     欧州糖尿病学会(EASD)
     米国内分泌学会(ENDO)
     国際内分泌学会(ICE)
     欧州内分泌学会(ECE)
     欧州肥満学会(EASO)
     国際高血圧学会(ISH)
  • 国内学会
     日本内科学会総会
     日本内科学会関東地方会
     日本糖尿病学会年次学術集会
     日本糖尿病学会関東甲信越地方会
     日本内分泌学会学術総会
     臨床内分泌代謝Update
     糖尿病学の進歩
     日本糖尿病合併症学会 
     日本病態栄養学会年次学術集会
     日本抗加齢学会総会
     日本甲状腺学会学術集会
     日本高血圧学会総会
     臨床高血圧フォーラム
     日本肥満学会
     日本ステロイドホルモン学会学術集会
     日本Men’s Health医学会
     日本性機能学会学術総会
     日本旅行医学会大会

主催学会

第33回日本糖尿病合併症学会・都市センターホテル2018年10月19日(金)〜20日(土)
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151