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耳鼻咽喉科学講座(大森)

所属教員名

和田 弘太  /教授
児玉 悟   /客員教授
加藤 孝邦  /医員(東京慈恵会医科大学 客員教授)
松島 康二  /講師
新井先生   /客員講師
安田先生   /客員講師
長舩 大士  /助教
井田 祐太朗 /助教
松浦 賢太郎 /助教
福生 瑛   /助教
井上 彰子  /助教
細野 祥子  /助教

運営責任者

Best Doctors 2018-2019

講座の概要

東邦大学における耳鼻咽喉科診療は昭和2年(1927年)に初代教授佐藤重一(昭和3年4月-昭和4年3月)が就任し開始されました。その後、吉田三郎、清水収次、吉村宗次、切替一郎、三辺武右衛門、名越好古、小松崎篤、小田恂、枝松秀雄と引き継がれ、平成28年(2016年)4月より和田弘太が就任をしております。歴代の教授の研究のテーマは様々ですが、大きくは難聴と平衡機能に関する研究と副鼻腔炎に対する病態と治療の研究が柱となっています。同門会として、東邦耳鼻咽喉科会が設立されております。

研究の概要

鼻副鼻腔炎の難治化因子の解明

2015年に厚生労働省より難病に指定された好酸球性副鼻腔炎は臨床的な所見が明らかにされたが、その発生学的な要因・病因、そして難治化の因子は解明できていない。好酸球性副鼻腔炎は、気管支喘息やアスピリン喘息など好酸球性の炎症疾患を有する患者が多い。気管支喘息やアスピリン喘息も同様に、治療は確立されつつあるが、根本的な病因の解明や発症の要因は明らかになっていない。そこで、我々は副鼻腔粘膜、鼻ポリープを用いて、これら難治性副鼻腔炎の原因を追究し、最終的には気管支喘息、アスピリン喘息の病因に迫りたいと考えている。また、難治化の因子の初期スイッチとしてウィルス感染を予測している。好酸球性副鼻腔炎の悪化時の鼻汁中、ウィルスを同定することで、難治化の因子まで迫りたいと考えている。
上気道、下気道ともに気道の炎症には様々な細胞が関係しており病因の解明を複雑にしている。気道上皮細胞、線維芽細胞などの上皮と間質の細胞、そして上皮-上皮下に浸潤している好酸球、好中球、リンパ球、NKT細胞、マクロファージ、肥満細胞など様々な細胞が複雑に関与しており、最近ではInnate lymphoid cellなども重要な役割を演じているとされる。気道上皮細胞は、呼吸によって外界と初めて接し、特に鼻副鼻腔粘膜上皮はファーストバリアとして重要である。また、バリアとしての機能だけでなく、外界からの刺激に反応し、多様な細胞応答を引き起こす。外的因子によって傷害を受けた気道上皮細胞は、粘膜下に存在する線維芽細胞や炎症細胞を活性化する。最近では上皮細胞や線維芽細胞から分泌されるIL-25、IL-33、TSLPが重要と考えられている。上皮は免疫機構において、重要なバリアの役割を担い、上皮-上皮下の細胞-炎症細胞の関係を調べることは病因を調べる上で、重要と考える。これらのIL-33、TSLP、IL-25はTh2細胞を介することなく、直接に好酸球、好塩基球、肥満細胞を刺激してアレルギー炎症を惹起できることも明らかになっている。次にこれらの反応を誘発する因子は何なのであろうか?細菌、ウィルス、真菌などの感染、Allergenが持つprotease、ATPなどを含めたPAMPs/DAMPsなどが挙げられる。私どもはウィルス感染がトリガーになると仮説を立てている。特に、好酸球性副鼻腔炎も気管支喘息もいわゆる感冒を契機に症状の悪化を認める。ウィルス感染にひき続く細菌感染がさらなる増悪を来すものと想像している。
これらを踏まえ好酸球性副鼻腔炎の発症因子と増悪因子の解明を目指す。副鼻腔炎患者を①健常人(眼窩壁骨折患者など)②喘息非合併患者 ③アトピー型気管支喘息合併患者 ④非アトピー型気管支喘息合併患者 ⑤アスピリン喘息合併患者の5群に分け検討を行うが、全て好酸球性副鼻腔炎の診断ガイドライン(JESREC Study)の4つの重症度分類にも同時に分ける。鉤状突起、鼻ポリープを採取し、それより上皮細胞、線維芽細胞を培養し検討を行う。この細胞をウィルス疑似であるTLR3 ligandであるPoly I:Cにての刺激に加え、ATCCからRSウィルスにて刺激を行う。しかし、好酸球性副鼻腔炎患者や気管支喘息患者では悪化や重症化する。これらの群間でTSLP、IL-25の産生を観察する。また、増悪因子の検討として東邦大学微生物・感染症学講座の協力のもとで、副鼻腔炎悪化時、ないしはESS後の増悪時の鼻腔洗浄液(悪化から2日以内)を用いて、呼吸器感染症の原因病原体に対するmultiplex PCR法を用いた遺伝子検査を行い、増悪因子なりうる感染症を検討する。またこの洗浄液中のIL-33を測定する。これらから、発症因子と増悪因子が同定できる可能性がある。

鼻副鼻腔の機能に関する研究

現在、内視鏡が導入されたことで副鼻腔手術はより安全に確実性を増している。しかしながら鼻・副鼻腔の機能に関してはまだ厳密に分からないことが多い。鼻副鼻腔の機能として、嗅覚、気道としての加温、加湿能、共鳴作用などが知られている。しかし、鼻腔内の流体力学ですら空気の流れが視覚的に表現することが難しいため、完全なる理解には程遠い。副鼻腔手術を行うと睡眠満足度が増すことが知られている。しかし、閉塞性睡眠時無呼吸症の患者においての検討では手術後に無呼吸低呼吸指数が改善するわけではないことは分かっている。それはおそらく副鼻腔手術のより気流が後方まで到達するからと想像される。最後部の副鼻腔である蝶形骨洞の周囲には内頸動脈が走行しその周囲には海綿城静脈洞が取り囲んでいる。これは副鼻腔が脳へのラジエーターとしての機能を持つと想像される。副鼻腔内の温度と術前後での脳の温度変化を検討したいと考えている。

一側性前庭障害患者に対するリハビリテーションの検討

めまい患者に対する治療の一環として、前庭リハビリテーションが注目されています。米国では20世紀より医師と理学療法士が協力して一般的に行われてきましたが、日本では診療点数が得られないため、理学療法士との連携も困難であり、十分に指導できていないと考えます。現状を打破すべく理学療法による効能を理学療法士と連携し、前庭リハビリテーションの効能を定量的・経時的に評価することにより、重要性を確認するとともに柔軟かつ簡潔なプログラムを作成することを目的とする研究です。その上で、めまい患者の増加が見込まれる今後の高齢化社会に向けて、前庭リハビリテーションの保険診療化、発展普及を最終目標と考えています。
上記のように、コントロール群と合わせて前庭神経炎、突発性難聴に伴うめまいなど一側性前庭障害で20~30名程度を対象とし、耳鼻咽喉科受診時(もしくはリハビリ開始時)、退院時(もしくはリハビリ開始1週間後)、初回受診後1、3、6ヶ月で眼振所見等の臨床所見とともに、DHI、HANDS、STAIの質問紙法を用いて、本リハビリにより自覚症状の変化する項目を検討します。
また運動機能をBarthel Indexで自立度を担保した上で、重心動揺系で奇跡長、総面積、Short Physical performance Battery、Functional Gait Index、Time up and goを評価検討します。

代表論文

  1. Matsushima K, Hirose H, Oridate N : Bilateral vocal fold immobility: findings of ten cases and proposed severity grading system. Auris Nasus Larinx (in press)
  2. Matsushima K, Isshiki N, Tanabe M, Yoshizaki N, Otsu K, Fukuo A, MatsuuraK, Watanabe Y Sato K:Operative procedure of anterior commissure for type Ⅱ thyroplasty.J Voice 32: 374-380. 2018
  3. 松島康二:チタン製インプラントを用いた甲状軟骨形成術Ⅰ型についての検討.日本耳鼻咽喉科会 118:1027-1036,2015
  4. Shimura E, Hama T, Suda T, Ikegami M, Urashima M, Kojima H. The Presence of HPV DNA in Neck Lymph Node Metastasis Correlates with Improved Overall Survival of Patients with Oropharyngeal Cancer Undergoing Surgical Treatment. Oncology. 2016 Dec 1. [Epub ahead of print] .
  5. Matsuura K, Wada K, Sasaki Y, Shiono H, Ozawa H, Edamatsu H: Dural Arteriovenous Fistula Presenting with Objective Tinnitus. Toho journal of medicine, 2015.
  6. Arai C, Wada K, Yanagisawa S, Edamatsu H: Hypereosinophilic syndrome which developed after surgery for eosinophilic chronic rhinosinusitis. Toho journal of medicine, 2015.
  7. Inoue A, Wada K, Matsuura K, Osafune H, Ida Y, Kosakai A, Edamatsu H. IgG4-related disease in the sinonasal cavity accompanied by intranasal structure loss. Auris Nasus Larynx. 2016 ;43(1):100-4.
  8. Wada K, Moriyama H, Edamatsu H, Hama T, Arai C, Kojima H, Otori N, Yanagi K. Identification of Onodi cell and new classification of sphenoid sinus for endoscopic sinus surgery. Int Forum Allergy Rhinol. 2015 ;5(11):1068-76.
  9. Wada K, Arai C, Suda T, Nagaoka M, Shimura E, Yanagisawa S, Edamatsu H. Primary adenoid cystic carcinoma of the nasolacrimal duct treated with proton beam therapy. Auris Nasus Larynx. 2015 ;42(6):496-500.
  10. Wada K, Kobayashi T, Matsuwaki Y, Moriyama H, Kita H. Alternaria inhibits double-stranded RNA-induced cytokine production through Toll-like receptor 3. Int Arch Allergy Immunol. 2013;161 Suppl 2:75-83.
  11. Wada K, Matsuwaki Y, Moriyama H, Kita H. Cockroach induces inflammatory responses through protease-dependent pathways. Int Arch Allergy Immunol. 2011;155 Suppl 1:135-41.
  12. Wada K, Matsuwaki Y, Yoon J, Benson LM, Checkel JL, Bingemann TA, Kita H. Inflammatory responses of human eosinophils to cockroach are mediated through protease-dependent pathways. J Allergy Clin Immunol. 2010 ;126(1):169-72.e2.
  13. Wada K, Tanaka Y, Kojima H, Inamatsu M, Yoshizato K, Moriyama H. In vitro reconstruction of a three-dimensional middle ear mucosal organ and its in vivo transplantation. Acta Otolaryngol. 2006 ;126(8):801-10.

教育の概要

教育

系統講義(3年生)
耳鼻咽喉学は人間の生存に必要な五感のうち『聴覚』『嗅覚』『味覚』を扱う重要な領域です。また、呼吸の入り口である上気道、摂食の入り口としての口腔、咽頭を扱い生存において非常に重要な領域を扱っています。学生にとってなじみの薄い耳鼻咽喉科ではありますが将来の選択科に関わらず重要な領域であり、その重要性を伝えたいと思っております。講義はすべての領域おいて系統的で魅力的な講義を心掛け、動画などを使用し理解しやすいものといたします。

臨床実習(4年次:3日間、5年次:5日間、6年次:1ヶ月~)
臨床実習においては鼓膜、鼻内、口腔、咽喉頭の観察、聴力検査の方法など、将来にどの診療科を希望しても医師として必要な耳鼻咽喉科領域の観察ができるように教育します。特に内視鏡検査や画像診断の読影を重視し総合的な判断ができるように指導し、参加型の実践的な臨床実習プログラムを作成しています。

レジデント・大学院

(レジデント:4年間)
レジデントには、医師として必要な耳鼻咽喉科の知識を提供します。めまい、鼻出血、咽頭痛など基礎的知識として必要な症状に対する診断、治療について深く教育します。さらに緊急気道管理に対する知識、技能は十分に教育したいと考えています。耳科領域、鼻科領域、咽喉頭領域、頭頸部癌領域、神経耳科学領域に関して広く教育を行いすべての領域において高いレベルの手術に接する機会を与えます。

この期間に広い範囲の臨床に接することは耳鼻咽喉科におけるsubspecialityを決める際に役立つと考えています。また各学年に応じた経験すべき手術症例を設定し、安全と確実性を追求した手術教育を行います。さらに医局における教育システムを確立し、ガイドライン、EBMに基づいて診断、治療を決定できる力をつけさせます。

また、国内、国外の学会にレジデントも積極的に参加を促し、学内では得られない知識、技術の取得に努めてもらい、最終的には東邦大学をアピールできるエキスパートを育成したいと考えています。

そして、個々の臨床レベル(外来数、手術件数など)、学会参加数、論文の執筆数などを『みえる化』を行い、東邦大学耳鼻咽喉科が地域のみならず、日本国内、世界でも評価される教室となるよう継続した努力を行います。
(大学院)
大学院における研究としては東邦大学免疫学教室と連携し、副鼻腔炎の難治化因子の解明を行いたいと考えています。

博士課程 専攻医 4年間  必要単位数:合計30単位
 
博士専攻科目 高次機能制御系 耳鼻咽喉科学(20単位)
博士共通科目  (6単位)
博士選択科目  (4単位)

診療の概要

耳鼻咽喉科の診療は、解剖・機能が複雑で聴覚、嗅覚、味覚、嚥下、呼吸など患者のQuality of Lifeを十分に尊重、理解した上で、専門的な知識と技能を要求される領域です。また、境界領域である疾患が多く存在するため、診療科間の垣根を超えた臨床の連携が重要です。脳神経外科、眼科、外科、形成外科、小児科、内科の先生方と今後もさらに連携を密にし、質の高いチーム医療を目指します。スタッフ、レジデントのみならず外来、病棟スタッフ、薬剤師、放射線技師などすべてのスタッフと定期的なミーティングを行い、耳鼻咽喉科に係る診療のレベルを全体で向上を目指します。耳科領域では真珠腫性中耳炎を中心とした中耳手術を、鼻副鼻腔科領域においては内視鏡下鼻副鼻腔手術、頭頸部腫瘍領域においては腫瘍切除、頸部廓清術、再建手術が積極的に行っていきたいと思います。特にこれらの耳科、鼻科、頭頸部腫瘍の治療は重要な柱と考えています。また、耳鼻咽喉科はめまいや耳鳴、難聴など内科的な、時にはメンタルな治療が要求される疾患も多く、その中には他覚的には理解しにくい患者も少なくありません。手術療法であっても、内科的治療であっても患者に対して最高の治療を行っていきます。

また、城南地区(大田区、品川区)と川崎市のエリアにおいて耳鼻咽喉科領域の患者は多く、近隣開業の先生方の眼も厳しく、最高なレベルの治療を期待しておられます。地域連携の重要性をすべてのスタッフが認識し医療に従事することが重要です。地域連携の会に積極的に出席し、顔と顔が分かる関係を構築し心のこもった医療の提供を目指します。

その他

社会貢献

(一般の方、患者様向け)
耳の日
アレルギー性鼻炎についてのセミナー
意識障害学会:家族向けレクチャー『意識障害患者様の在宅介護』

(医療関係者向け)
大森耳鼻咽喉科医会勉強会
大森KAMPOセミナー
アレルギー性鼻炎の最新治療、花粉症フォーラム
耳鼻咽喉科領域の内服薬の使い方について
城南聴覚と補聴器セミナー

学会活動

国内学会、海外学会を中心に発表、情報収集を行い国内外で認められる医局を目指したいと考えています。

(国内学会)
  • 日本耳鼻咽喉科学会
  • 日本鼻科学会
  • 日本耳科学会
  • 日本頭頸部外科学会
  • 耳鼻咽喉科臨床学会
  • 日本頭頸部癌学会
  • 日本喉頭科学会
  • 日本口腔咽頭科学会
  • 日本音声外科研究会
  • 日本音声言語医学会
  • 日本気管食道科学会
  • 日本めまい平衡医学会
  • 日本嚥下医学会
  • 日本睡眠学会
  • 日本アレルギー学会
(国際学会)
  • American academy of otolaryngology, Head and Neck Surgery
  • International Symposium of Infection and Allergy of the Nose
  • International Federation of Oto-rhino-laryngology Societies
  • International Phonosurgery Symposium
お問い合わせ先

東邦大学 医学部

〒143-8540
東京都大田区大森西 5-21-16
TEL:03-3762-4151