田崎　美弥子　／　教　授
山口　哲生　　／　准教授

田崎　美弥子　／　教　授

心理学研究室は，昭和49年に東邦大学医学部の一般教育課程として沼野一男先生が開設され，昭和50年からは稲松信雄先生が引き継がれました。平成21年4月より田崎が着任し，現在，平成23年から加わった山口と二人で運営しております。心理学は日本では文系学部に属していますが，アメリカを初めとする欧米諸国では，理科系と文科系の境界領域の学問として扱われています。特に，私どもの専門である行動心理学（行動分析学）では，行動の客観的な記述や測定を主な方法論とし，問題行動の変容や行動の一般原理について実証的な研究をおこなっています。

心理学研究室としての最近の研究では，WHO障害評価面接基準（WHO Disability Assessment Schedule)の日本語版開発研究があります。これは国際生活機能分類（International Classification of Functioning, Disability and Health）から派生した主観的な障害程度を問うものであり，異文化間で健康および障害を評価するために標準化された評価票です。また，心理学研究室では，特定の脳波を強化することで臨床効果が期待されるニューロフィードバック療法の日本での普及とその実証研究をおこなっています。ニューロフィードバックは，発達障害や自閉症児童の問題行動，うつ症状の改善や癲癇発作の抑制，薬物依存やアルコール依存の改善に効果があることが示されています。また，音楽家やアスリートのパフォーマンス向上にも効果があることが実証され，海外のオリンピックチームのトレーニングにも適用されています。

1年次の心理学では，まず，知覚心理学・認知心理学・学習心理学・発達心理学などを概説し，心理学の基本的な知識と考え方を学び，続いて心理的ストレスに関わる生理心理学や臨床心理学へと理解を深めていきます。II期では，FSS（Five factor and stress）理論，YG検査，交流分析などを実施し，自身のパーソナリティ特性を深く理解することで，対人コミュニケーションの基礎を学びます。講義と実習を通じて，自己や他者の情動や行動に対する深い洞察が得られるように指導しています。医師を目指す学生は，心理学の基礎知識を習得し，実生活に活かすだけではなく，将来，患者さんを診るときに，患者さんの辛さや，家族，友人，職場関係も含めた人的環境や，物理的，経済的環境も解した上で，患者さんの身体と心を治すことができる医師になっていただきたいと願っています。