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研究科長の挨拶

はじめに

医学研究科長 盛田 俊介
医学研究科長 盛田 俊介

東邦大学大学院医学研究科は、1959年に開設され60年が経過し、この間、多くの優れた医学者と医療者を輩出してきました。博士課程では、建学の理念「自然・生命・人間」の下、独創的な研究活動を展開できる医学研究者と、高度かつ専門的な医療知識・技術を修得し、診療に根ざした臨床研究を国際的視野に立って展開する能力をもつ指導的医療人の育成を通じて社会に貢献することを目標に掲げています。そのためのカリキュラムとして、基盤となる知識と能力を修得するための5つの共通必修科目と13の共通選択科目を設定し、専攻科目には、代謝機能制御系、高次機能制御系、生体応答系、社会環境医療系の4つに分類された系に50にも上る多彩な科目を配置しています。修士課程では、「広い視野に立って精深な学識を授け、専攻分野における研究能力又は高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を養うこと」を教育研究上の目的とし、1つの共通必修科目と20の共通選択科目、そして専門科目は博士課程と同様に4つの系に21科目を配置し、多様な背景を有する学生のニーズに応えています。

「ヒトと知と価値の集積と創造の拠点ー開かれた大学院ー」

2020年初めから、世界は SARS-CoV-2感染症のパンデミック状態にあります。「普通」であったこと「あたりまえ」と思っていたことが、全く役に立たないばかりか、パンデミックを齎したと言っても過言ではありません。しかし、世界の医学者は、この SARS-CoV-2 に挑み新たな知見を生み出し、with/after coronaにおける我々人類が安心して暮らせる「new normal」の創造に繋げようとしています。
予測困難で不確実な社会においても、活躍する医学者・医療者であるためには、豊かな教養と高い倫理観に立脚した高度で専門的な「知と技」を修得する能力を有する自律的学修者となる必要があります。このためには、論理的・批判的な思考、課題を探求する力、仮説を立案し検証する力、最先端の情報を収集する力、研究成果の社会実装に必要な倫理的・制度的課題に対応する力、多様性を理解しグローバル化に適応できる力。このような基盤的な能力が、コースワークとリサーチワークを通して涵養されます。
大学院は、外部の様々な機関と連携する「場」であるとも言え、本研究科は、教員と研究者そして大学院生が集い、その価値を社会に還元する「ヒトと知と価値の集積と創造の拠点」となっています。

自然科学系総合大学である東邦大学医学研究科の強み

医学と医療の進歩と革新には、多様な分野の多彩な知との連携が必須です。東邦大学大学院には、医学に加えて、薬学、理学そして看護学の3つの研究科が存在し、学部横断的共通教育等を活かした人材交流と共同研究を通し、それを可能にしています。医学研究科はその専門性を活かしながら他研究科と連携し、自然科学系総合大学の強みを十分に活かした多彩な専門知の組み合わせによる新たな知を創造していきます。

むすび

1957年、東邦大学の学祖のお一人である額田晉先生は、著作「自然・生命・人間」を発刊されました。 この中の記述を以下に引用します。
「人類はまだ若年なのである。人類の歴史を一つの過程としてみるとき、いいかえれば理想の実現を目指して絶えず向上していく生命の闘争を見るならば、われわれはやがて科学本来の正しい使命に目ざめて、必ずや現代の危険を克服していくであろうことを知るのである。」
この「自然・生命・人間」には、自然の偉大さを知り畏敬の念を抱くこと、掛け替えのない自然と生命を尊重することの重要性、人間は自然の一部であり、自然と生命との共生の中で生きていること、が書かれています。これは、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」を標語とするSDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))に通じるものと言えます。建学の精神「自然・生命・人間」に基づき、誰一人取り残さない「new normal」を目指す「ヒトと知と価値が集積そして創造する拠点」となるべく、私たちは前進していきます。