挟み込み資料の面白さ
2024年11月21日冊子型の資料には、メモなど紙片状の物体が挟み込まれていることがあります。
そうした挟み込み資料は時として、冊子型の資料本体に負けず劣らす、その時代の空気を伝えてくれるようで興味を惹かれるものがあります。
写真は専門学校時代の教科書と思われる冊子に挟み込まれていたものです。
表題は「昭和十二年 秋 日本職業野球選手メンバー表」。
1937年時点でのプロ野球選手一覧表でしょうか、位置、年齢など、選手の情報を記載したリストが各球団ごとに並びます。
画像で向かって右側のページには現代でもなにやら聞いたことのあるようなチーム名が掲載されていますが、他のページを見てみますと、「金鯱軍」、「東京セネタース」など、耳慣れない球団も登場しています。
この資料が挟み込まれていた冊子は、専門学校医学科の卒業生が所蔵していたものです。
1937年はちょうど在学中に相当しますので、勉強中、しおり代わりに教科書に挟んでいたのがそのまま残ったのでしょう。
このメンバー表がどのような経緯で生徒の手に落ちたのかは分かりません。
自身が野球ファンで、忙しい勉強の合間を縫って野球の試合を見に行くことなどがあったのでしょうか。
それとも周囲に熱心な人がいたのでしょうか。
実は近い時期、嘘か真か、先生方を「野球見物の為には休講を何等躊躇しなさらない」とからかい交じりに評した随筆が生徒によって書かれています。
ひょっとしたら、学校内で野球がブームだったのかもしれませんね。
想像が膨らみます。
《史料》
『学友会雑誌』第20号、1935年12月、p135
投稿者:スタッフ
カテゴリー:資料について