幾瀬マサ、学問への道
2023年02月27日
少しずつ暖かくなり、気持ちの良い気候になってきました。とはいっても、やはり花粉が気になって思いきり窓を開けられません。さて今日は、花粉研究の基礎を築いた本学の卒業生である幾瀬マサについて紹介します。
幾瀬マサは1935年に本学の前身である帝国女子医学薬学専門学校の薬学科を卒業しました。花粉粒の研究でその名が知られるようになったのは戦後のことですが、本学在学中から植物採集に勤しんでいたことが自身の回想録の中に記されています。卒業までに一人黙々と約2000枚の標本を作成したエピソードには大変驚かされます。
薬学科卒業後は2年間久内清孝先生の薬用植物学教室の助手として在籍していました。本人は助手として学校に残り、学問の世界で生きていくことを希望していましたが、家族からの反対によって実家へ戻り家事手伝いをすることとなりました。
それでも学問への探求心は衰えず、実家の裏山で植物採集をしていました。この姿を見た家族は、学校の敷地内にできたばかりの家庭科学研究所高等部(後の帝国女子理学専門学校の礎石となる学校です!)で裁縫や料理などを勉強するという条件のもと、もう一度薬学科の助手として戻ることを許したといいます。
こうした幾瀬マサの事例からは、この時代の女性が学問の世界に進むためにさまざまな種類の苦労を乗り越える必要があったことが垣間見えてきます。
投稿者:スタッフ
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