数野美つ子先生と東邦大学
2021年08月25日今年の夏は上野の国立科学博物館で、加速器に関する企画展が開催されていますね!今日は、加速器と関係の深い卒業生についてご紹介します。
本学理学部の前身、東邦女子理学専門学校の卒業生のひとりに数野美つ子先生(かずのみつこ、1928生-2011年没)がいます。数野先生は本学を卒業後、郷里の山梨で教員として就職し、その後アイルランド留学を経て、高エネルギー素粒子物理学の研究者となりました。帰国後は本学理学部に設置された物理学科で教授を務めました。(理学専門学校時代に物理学科はあったのですが…このお話は長くなるのでまた今度。)
数野先生はアイルランド留学中に、ダブリン大学で博士の学位を取得しています。そのときの指導教授はノーベル物理学賞を受賞したアーネスト・ウォルトン教授でした。数野先生の同期にウォルトン教授の息子が在籍していたこともあり、教授の自宅に招かれたこともあったようです。
アイルランドで博士号を取得し、アメリカの大学で客員研究員となった後、1982年より本学の理学部物理学科の基礎物理学教室で教授として定年まで勤めました。先生の教室では、アメリカやスイスの大型加速器を用いて、欧米の大学と共同で新素粒子の特性解明などの研究が行われていました。海外からの研究者も多く出入りしていたため、院生や学部4年生は、研究者の案内や自身の研究の説明など、英語での対応が求められていました。
さらに先生は研究にとどまらず、「日本女性科学者の会」の第3代会長も務め、会の国際化や子どもたちへの理科教育にも取り組みました。とりわけ、1999年に幕張メッセで開催した「第11回国際女性技術者科学者会議(ICWES)」は、およそ8年前から準備を進めていたといいます。会議の最終日には、環境問題への女性からの発言の必要性や、21世紀を担う子どもの教育の重要性を提言としてまとめました。
資料室で数野先生について取り上げるのは、今回のブログが初めてとなります。というのも、これまで先生に関連する資料をなかなか見つけられずにいたのですが、10月4日より習志野メディアセンターで開催予定の出張展示「家庭科学研究所高等部と科学教育—東邦大学理学部の源流」の準備をしている際に、ようやく関連記事をいくつか見つけることができました。
今度の出張展示で、理学専門学校の卒業生の一人として数野先生についてもご紹介できればと思っています。(習志野メディアセンターは当面の間、学外の方のご利用を中止しています。展示内容について、サイト上でご覧いただけるようにする予定ですので、公開の頃またお知らせします。)
※画像は新設された物理学科が入った理学部Ⅱ号館。
投稿者:スタッフ
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