【企画展資料の紹介③】—卒業生文集『青春のかたみに』
2021年04月27日緊急事態宣言の発出に伴い、4月26日(月)より新型コロナウイルス感染防止に努めるため、資料室を臨時閉室しております。開催しておりました企画展「戦時下の理系女子学生」については、展示パネルの内容を以下のリンクからもご覧いただくことが可能です。
前回のブログに引き続き、企画展「戦時下の理系女子学生」で展示している資料についてご紹介します。今回の資料は、卒業生によって作成された文集『青春のかたみに—疎開した女子医学生の記録』です。
この文集は、帝国女子医学薬学専門学校の医学科21回生によって、卒業から約40年が経過した1992年にまとめられたものです。文集では卒業生それぞれが終戦前後の日々を振り返っており、当時の学校の状況や学生生活を知るために欠かすことのできない資料の一つとなっています。
とりわけ、終戦後に東京へ戻ってきた後、空襲で施設の大部分を焼失した本学のために、学生たちがアルバイトをして復興資金を稼いだというエピソードが印象的です。学校側も資金集めのために卒業生や保護者に協力を呼びかけていましたが、学生も自らライターを売ったり、米軍基地のランドリーで働いたり、ダンスパーティを開催して資金集めを行うなど奔走していました。
文集の前書きには、この文集を作るにあたっての思いが以下のように綴られています。
「明日の生活の保障さえ確たるもののない、まさに動乱の中で学校疎開という前代未聞の状態から始まった医学生の生活を、平和を享受している飽食の今、あえて振り返り、貴重な体験として残しておきたい、との願いがこの記念誌を作る発端でした。」
この言葉は、スタッフが今回の企画展を作成しようと決心するきっかけにもなりました。資料室で所蔵しているもう1冊の医学科17回生による文集とあわせて丁寧に読み込み、今回の展示内容に反映させています。
ご関心お持ちの方は、ぜひ上記のリンクから展示パネルの内容をご覧いただければと思います。
投稿者:スタッフ
カテゴリー:資料について