額田医学生物学研究所のモデル—ハルナックハウス
2020年07月28日
2019年に額田医学生物学研究所より、大変多くの資料をご寄贈いただきました。ちょうどその整理作業を行っていたのですが、その中に額田晉が欧州へ渡った際のアルバムが一冊ありました。今日はこのアルバムの中から、上の写真をご紹介します。
この写真は部屋の中で椅子に座る額田晉を写したものです。1936年にベルリンのダーレムにあるハルナックハウス(Harnack Haus)の「カントの部屋」にて撮影されたものです。
この頃、晉は大学の研究室よりも落ち着いた環境で、さらにさまざまな分野から総合的かつ長期間にわたって研究を継続することを求めていました。そこで研究所の設立を構想し始めましたが、まずは設立に先立って1936年に約半年間かけてヨーロッパ各国の研究施設を視察しました。このとき晉は、ドイツのカイザーヴィルヘルム研究所(現 マックス・プランク研究所)所長のルドルフ・クレール博士(Albrecht Ludolf von Krehl)の招聘で渡欧したと記録が残っています。
そして渡欧先のドイツで滞在していたのが、このカイザーヴィルヘルム研究所内のクラブハウス「ハルナックハウス 」でした。帰国後、晉はこれをモデルにして研究所を設立しました。そして1939年、ついに千葉県の稲毛に額田医学生物学研究所を設立しました。ここで晉は肺結核の特殊変調療法などについて研究していました。
インターネットで「Harnack Haus」の画像を検索すると、赤茶色の三角屋根の建物が出てきます。この絵葉書に描かれた旧研究所の建物は稲毛の研究所敷地内に現存しているのですが、どことなくハルナックハウスと雰囲気が似ているような気がしませんか?皆さまもぜひ比較してみてください。

投稿者:スタッフ
カテゴリー:資料について