資料のクリーニングと状態確認

6月のはじめ、本学理学部の卒業生の方から学生時代のノートやレポートをご寄贈いただきました。なんと、4年間のほぼ全ての講義ノートが揃っているという大変ありがたい資料群です。いつか展示を通して皆さまにご覧いただければと思っています。

現在、これらの資料の汚れを落とすためにクリーニングの最中です。刷毛などでやさしくブラッシングし、一点ずつ資料のチリやホコリを落としています。こうした作業をしていると、虫が出てくることがよくあります。今回は保管環境が良かったのか、目視で確認できる虫はいませんでしたが、大抵の場合はどこかしらに潜んでいます。小さい虫からそれなりに大きな虫まで、また生きている場合もあれば死骸の場合も……。何度遭遇しても慣れないものです。(こういうときは「資料のためだ!」と心を奮い立たせて頑張っています。)

また、クリーニングと並行して資料状態の確認作業も行っています。今回はフラットファイルに綴じられている資料が多く、その留め具が金属製であったため錆びている箇所が散見されました。このまま放置すると資料の劣化につながってしまいます。これを防ぐため、今回はプラスチック製の留め具に付け替える作業も行いました。その他に、クリップやホッチキス、輪ゴム、セロハンテープなど長期保存に適していない付属物があれば除去します。

実際、資料をご寄贈いただいた状態のままで放置したとしても、半年や一年では資料に大した変化は見られないかもしれません。しかし、10年、20年経過する頃には資料の酸化・劣化が進むのは明らかです。

資料室では、資料を収集する際に一点ずつこのようにクリーニングや状態の確認作業をします。なぜこのような作業を行うのかといえば、すべては50年後、100年後の未来にこれらの資料とともに本学の歴史を受け継ぐためです。

特別なことのように思われるかもしれませんが、実は歴史資料を収集している所では当たり前のように行われている作業です。(楽屋裏での地道な作業なので、一般の方にはあまり知られていないかもしれません。)大抵の場合、アーカイブズ学や学芸員資格を取得する際の座学・実習などで基礎的なことを教わり、さらに各々が勉強を重ねた上で作業にあたります。

資料室の大切な仕事の一つとして、今日は資料のクリーニング・状態確認について簡単にご紹介しました。この他にもカビ除去の話や、同時進行で行う目録作成の話があるのですが、またいつかの機会にご紹介します。

(※画像はクリーニングの様子です。一人で作業していたので自撮りで失礼します……。)

投稿者:スタッフ

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