企画展「幾瀬マサと東邦大学-山野を歩き、生きた花を集め」開催中 その3
2020年02月13日
資料室で開催中の企画展「幾瀬マサと東邦大学—山野を歩き、生きた花を集め」は来週2月21日(金)までの開催です。開室日と開室時間をご確認の上お越しください。(入場無料です)
【開催期間】1月8日(水)~2月21日(金)
【開室時間】平日10時~16時(※土日祝は閉室しております)
【場所】大森キャンパス 医学部本館1階 額田記念東邦大学資料室
ブログでは先日より引き続き、幾瀬マサにまつわる資料やエピソードをご紹介しています。今回は、幾瀬マサと図書館のエピソードについてです。創立者の一人である額田晉の没後に出された『額田晉 自然・生命・人間』に収録されている幾瀬マサの追悼文「舎監のことなど」と、幾瀬自身の半生を振り返った回想記「私の辿った道」(『幾瀬マサ教授定年退任記念誌』収録)を参考にしています。
1932年に完成した図書館には、創立者の一人である額田晉によって「厳粛にそして朗らかに生きよ」と「人生の意義は努力にあり」と書かれた額が飾られていたと幾瀬はいいます。これらの言葉は額田晉が日頃から学生たちに伝えていた言葉で、戦前の卒業生たちの多くがこの言葉を大切にしていました。(ちなみに幾瀬自身が教職員になってからも、学生たちに額田晉の言葉を伝えていたといいます。)
上の画像にもあるように、図書館は学生たちの自習の場として活用されていました。しかし、戦時下の空襲では幸いなことに書庫は無事でしたが、閲覧室には火が入ったといいます。幾瀬は、終戦直後の図書館について以下のように振り返っています。
「……この入口の扉は焼けついて閉鎖したままだったが、或日アメリカ兵が来て、兵器や弾薬などが隠してあるのではないかとの疑いからこじ開けられた。一度開けられると扉は閉まらず、そのままではせっかく焼失をまぬかれた本の保存が不可能のため、学生が書庫から本館まで2列に並び焼け残った本をリレーで2階へはこんで一時保存した。(原文ママ)……」
その後、薬学科の習志野移転の際には、トラックで標本や実験の器具などと一緒に薬学関係の本も運ばれていきました。この時、移転先へ運ぶ本の仕分けをしたのは幾瀬の恩師である植物学の教授、久内清孝でした。
戦前の図書館についての資料や記述はこれまでほとんど見つかっておらず、当時の様子を把握するにはこうした幾瀬のエピソードなどが頼りとなります。回想記をはじめとして、さまざまなところで語られた幾瀬の思い出は、私たちにとって東邦大学の過去を辿るための大切な証言となっています。
投稿者:スタッフ
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