額田保養院に関する資料を展示しています
2019年09月27日
9月も終わりに近づき、朝夕は幾分か涼しくなってきました。
さて、資料室では資料保存の観点から、展示資料を定期的に入れ替えています。
今回新たに展示した資料は、額田豊が1920年に創設した鎌倉の額田保養院に関する資料です。この資料は、帝国女子医学専門学校が創立した1925年、記念すべき1回目の遠足で鎌倉へ行った際に、額田保養院を見学し、そこで撮影された集合写真です。(広報誌『高峯』には学生の感想文が載っており、大仏も見たと書かれています。)
額田保養院は結核を療養するためのサナトリウムで、外来診療所や宿泊施設、家族で入れるコテージ風の洋館のような独立舎などが建てられていました。
当時はまだ効果的な薬が開発されていなかったため、大抵は大気安静栄養療法に基づいた治療が行われていました。清浄な空気を吸い、安静を保ち、栄養のある食物を摂取するという治療法です。
トーマス・マンの『魔の山』や堀辰雄の『風立ちぬ』の印象が強く、サナトリウムは高山にあるというイメージですが、気候の良い海岸沿いにつくられることも多くありました。鎌倉にもこうした理由から多くの結核療養ための施設が開設され、日本各地から結核療養のために患者が集まりました。
2019年の春に額田医学生物学研究所より寄贈された資料のなかの1点です。大学にお越しの際は、ぜひ資料室にもお立ち寄りください。
投稿者:スタッフ
カテゴリー:資料について