カブトガニと額田晉

突然ですが、カブトガニって実物を見たことありますか?
スタッフは写真でしか見たことがありませんが、我々の知っているあの美味しいカニさんとは程遠い姿をしていますよね。

つい先日、ナショナルジオグラフィックのオンラインニュースで、カブトガニがクモの仲間だったという衝撃的なニュースを偶然見かけました。実はこのカブトガニ、創立者のひとりである額田晉(ぬかだすすむ)と深い関係があるのです…。

額田晉は、1913年頃より心臓の構造やはたらきに関心を持ち、研究テーマとして扱っていました。その際、生きている時の心臓のはたらき具合を調べるため、ウサギやカエルの心臓よりもさらに単純な構造を持つカブトガニを選んで様々な実験を行いました。

カブトガニを用いた理由には、すでに他の研究者がカブトガニの心臓を使って論文を発表していたこと、また、晉の出身地である岡山の海辺でよく見られる生き物だったことの2つがありました。

晉は同郷の友人に頼んでカブトガニを岡山から送ってもらい、その後、当時の浅草花やしきにあった水族館へ一度預けていました。(なんと水槽の中で展示もされていたそうです。)

1919年に医学博士の学位を取得した晉は、さらに理学博士の学位を取得するため、1925年に東京帝国大学へ論文を提出しました。その際扱ったのがカブトガニの心臓に関する研究でした。晉はその後、肺結核に関する研究に取り組むようになりますが、亡くなる直前の1964年に執筆していた文章もやはりカブトガニの心臓に関するものでした。

「…これまで自分がどんな考えで、どのような実験をしてきたか、現にどのような方向へ進みつつあるのかのあらましを、できるだけ誰にもわかるように、まとめてみたのが本書である。次の世代への贈りものの一つとなれば幸いである。」

「研究のあゆみ リムルス」(リムルスはカブトガニの学名)と題した本のまえがきとして、このように記しましたが、この原稿は未完成のまま晉の遺稿となりました。
晉が研究者として最後まで情熱を注いだ心臓の研究には、カブトガニの存在を欠かすことができませんでした。

少し長くなってしまいましたが、カブトガニと額田晉の切っても切り離せない関係、この機会に多くの方に知ってもらえたらと願います。

※晉の遺稿「研究のあゆみ リムルス」は、上の写真の『額田晉—自然・生命・人間』に収録されています。

投稿者:スタッフ

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