学友会会報第一号

医学メディアセンターでは、本学の前身である帝国女子医学専門学校の
「学友会会報第一号」を所蔵しています。
年代は不明ですが、大正14年秋~大正15年冬に発行されたものだと思われます。
創立時のことが読み取れる貴重な資料で、学校紹介はもちろんですが、
これからの学校生活に対して希望が溢れている様子がうかがえます。

理事長である豊先生や校長である晉先生のあいさつの他に、
学生の感想も記載されています。


入学後の感想  宮地甕子
 入学後早や一ヶ月あまりも過ぎました。一ヶ月余りの専門学校生活に於ける私の感想?
第一に感じた事は自由意志を尊重して下さる事でした。私達の様に女学校時代に何事も
校長の志のままに動いて来たものには、校服など私達生徒に決めさしていただけた事が
どんなにうれしかったでしょう。第二には校長先生が私達に親しくお講義をして下さる事で
ございました。専門学校の校長先生が生徒にしたしく講義をして下さるという事は、やはり
本校の他の専門学校と異なる点でございます。(後略)


私の帝国女子医学専門学校に対する所感  黒坂満嘉子
 (前略)
 私が第一に此の学校の入学試験によって直感じたことは、額田先生が如何に人の人格
を尊重していらっしゃるということで、今までの我国に於ける専門学校の入学試験というも
のは、多く筆頭試験に入学の可否の大部分をおいております。(後略)


本校に対する感想  宮田喜美恵
 私は本校に入学致しまして第一に感じました事は、教育の方針の全然他校と異っている
点であります。第一筆記主義でなく要点を確っかり理解して行く主義である事です。私は大
変好い主義だと思います。何となれば筆記されたものが実際役に立つかといいますと、そ
れはただ試験前のにわか勉強にまる覚えするのみで実際にそのものを理解して行く事は到
底出来得ない事であります。理解しなければならない事をむやみやたらに筆記のみに気を
うばわれるのでは決してそのものを理解し要点をつまむという事は出来ません。なるべく筆
記しない様にし必要なことのみを記す程度が大切であります。然しこれは実際にあたってや
ってみると実行しにくく筆記がしたくなります。口でいうのみでなく本当にこれを実行してみた
いと思います。これを続けて行ったならば実力が養われて行くだろうと存じます。(後略)


ここで抜粋した3名の感想には、豊先生と晉先生の教育方針が表れています。

豊先生は、授業は筆記を取らせるより、教科書を使用してメモを取る程度の方が、
短時間で意味のある授業になると考えました。

晉先生は、人格教育にも力を入れ、学生の人生問題の悩みに応えるために
「科学的人生観」を考えだし、医療人として歩むために必要な「医の倫理」を説きました。

豊先生と晉先生の学校創設にかける想いは、学生たちに浸透していたようです。

投稿者:スタッフ

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