2017年度物理学科コロキウム(7月12日)
日時
2017年7月12日(水)16:00 - 17:00
場所
理学部5号館 2階 5208
講師
宮本 祐樹 氏 (岡山大学異分野基礎科学研究所・量子宇宙研究コア 講師)
開催内容
量子コヒーレンスを用いた稀な過程の増幅とその応用
量子力学によれば系の状態は波動関数であらわされます。波動関数は波としての性質をもち、N個の波動関数が完全に建設的干渉を起こすと振幅はN倍に、強度はN^2倍となります。しかし通常は個々の波動関数のランダムな位相により干渉効果は失われ、強度はNに比例します。もしそれぞれの波動関数の位相をレーザー光などを用いて揃えることができれば、N倍の増幅効果が得られることになります。このような量子力学的な干渉による増幅を我々はコヒーレント増幅と呼び、現在研究を進めています。巨視的な数、例えばアボガドロ数程度の粒子をコヒーレントに制御することにより、コヒーレント増幅は非常に強力な増幅機構となります。そのため発生確率がきわめて低い過程への応用が期待されます。我々は最近、水素分子の振動状態を高強度狭線幅なレーザー光による誘導ラマン散乱でコヒーレントに励起することにより、振動状態間で起こる二光子放出強度を大幅に増幅(自然放出強度に比べて18桁以上)し、観測することに成功しました。本講演ではこれらの実験成果とともに、コヒーレント増幅の応用として期待されるテーマを紹介します。
他学部、他学科の教員、学生のみなさんの聴講も大歓迎です。
お問い合わせ先は物理学科コロキウム係:大江純一郎 junichirou.ohe(atmark)sci.toho-u.ac.jp (atmark)は@です。
お問い合わせ先は物理学科コロキウム係:大江純一郎 junichirou.ohe(atmark)sci.toho-u.ac.jp (atmark)は@です。