2012年度物理学科コロキウム(2012年5月16日)
日時
2012年5月16日(月) 16:00 - 17:00
場所
理学部5号館 1階 5105
講師
内田 健一 氏(東北大学金属材料研究所)
開催内容
スピンゼーベック効果と絶縁体を用いた熱電変換
近年、電子が有する電荷の自由度に加えてスピン角運動量の自由度も積極的に利用する「スピントロニクス」が次世代電子技術の有力候補として注目を集めている。従来のエレクトロニクスが電子の電荷の流れである電流によって機能していたのに対し、スピントロニクス機能の多くは電子スピン角運動量の流れである「スピン流」によって駆動される。エレクトロニクスが電流と電圧の制御に基づいて体系化されたように、スピントロニクスにおいてはスピン流とスピン圧(非平衡スピン流の駆動力)の生成・検出・制御技術の拡充が必須であり、これには全く新しい物理概念・現象の開拓と理解が必要であることが明らかになった。これまでのスピン流研究は主に電流や磁化ダイナミクス、光(偏光情報)との相互作用効果に焦点を当てて行われてきたが、最近になって熱とスピントロニクス効果の相互作用にも注目が集まってきた。本講演では、我々が発見した熱流によるスピン圧生成現象「スピンゼーベック効果」に関する以下の最先端のトピックスについて、基礎研究面から応用的側面まで、時間の許す限り詳しく紹介する予定である。
[2] K. Uchida et al., Nature Mater. 9, 894 (2010).
[3] K. Uchida et al., Nature Mater. 10, 737 (2011).
お問い合わせ先は物理学科コロキウム係:大江純一郎 junichirou.ohe(atmark)sci.toho-u.ac.jp (atmark)は@です。
- 金属及び絶縁体におけるスピンゼーベック効果の観測 [1,2]
- フォノンに媒介されたスピンゼーベック効果 [3]
- 音波注入によるスピン流生成:音響スピンポンピング [3]
- 絶縁体を用いたスピン流熱電変換
[2] K. Uchida et al., Nature Mater. 9, 894 (2010).
[3] K. Uchida et al., Nature Mater. 10, 737 (2011).
お問い合わせ先は物理学科コロキウム係:大江純一郎 junichirou.ohe(atmark)sci.toho-u.ac.jp (atmark)は@です。