理学部物理学科

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コラム 『ガリレオの部屋』

 このページには、物理学科の教員が主に高校生向けにいろいろなお話を載せることにしました。物理学科の教員がどんなことを考えているのか、物理学の魅力は何なのか、文章の裏側にあるそんなメッセージを受け取っていただけたら幸いです。

第12回 「液体ヘリウム再凝縮装置の設置」

 本学物理学科 物性物理学教室では液体ヘリウムを使い、超伝導現象など新奇の量子現象を探索しています。しかし、以下で述べるたようにヘリウムは大変希少で高価です。東邦大学にはヘリウムの液化設備は無いために、今まで、使った(蒸発する)ヘリウムガスは大気中に放出していました。
 2017年8月、ついに液体ヘリウムの再凝縮装置を物性物理学教室に新しく設置しました。蒸発したヘリウムガスを液化し、再利用することで低温実験が安定して行えるようになりました。今のところ、回収率は約70%ですので、これから80%、次に90%を目指します。 2018年8月現在、回収率は94%まで達成しました。95%以上を目指します。


 ヘリウムは、空気中に極わずか(比率は0.0005%ほど)に含まれている無色無臭の気体で、最も軽い希ガス元素です。沸点は-268.9℃とあらゆる物質の中で最も低く、絶対零度(-273℃)まで冷やしても不確定性原理により液体のままです(大学の授業で学びますので、お楽しみに)。加圧下でのみ固体になります。
 空気を冷却し液化分離することが難しく、主流となっているヘリウムの産出は、採取した天然ガス(稀にヘリウムを0.5~1%程度含んでいるガス)から低温を利用して分離する方法です。現在、ヘリウムを採取できるのは、米国、アルジェリア、カタール、ロシア、ポーランドの5カ国に限られ、非常に貴重な資源です。

 ヘリウムの液化は、1908年7月10日にオランダの物理学者ヘイケ・カメルリング・オネスによって初めて実現しました。1911年には、ヘイケ・カメルリング・オネスは液体ヘリウムで水銀を冷却し、電気抵抗がゼロになる超伝導現象を初めて発見しました。「低温物理学」の幕開けです。この様な低温では、熱的な擾乱が小さくなるために、微小な相互作用による特異な現象や超伝導現象などの巨視的な量子効果が現れます。
また、液体ヘリウムはMRIなど医療機器にも使用されています。

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