理学部情報科学科

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目で見て解る数理:多面体の展開図

2.多面体の展開図と未解決問題

次に展開図とはどのようなものかを考えてみましょう。多面体の展開図とは、例えば次のように説明すると分かりやすいのではないでしょうか。
 
 中が空洞な紙の凸多面体の模型があったとする。多面体の稜線の部分をいくつか切り開いて、面を残った稜線にそって開く。すべての面が一つの平面に開かれたとき、一つつながりの平面図形を展開図という。
 
ここで稜線とは、次図のような多面体のへりの部分でです。
2.多面体の展開図と未解決問題01
 ただやみくもに稜線を切ればよいのではなく,切る稜線は以下の3つの条件を満足しなければなりません。
 
  1. すべての頂点において、少なくとも一つは切る稜線が接している。(さもないと、その頂点のまわりで展開できない)。
  2. 切る枝が巡回路を形成していない(さもないと、巡回路に沿って図形が離れてしまう)。
  3. 切る枝が連結している(さもないと、多面体全体で展開できない)。
 
 上の条件を満たす稜線の集合は、専門的な言葉でいうと多面体グラフ(スケルトン)の全域木というものになります。さらに、上の条件を満たす稜線の集まり(全域木)が異なれば、展開図も違ったものになります。
 
 下の図は、正は八面体に対する異なった「全域木」による多面体の展開図です。それぞれ左側の図が多面体のスケルトンで、黒い太線が切るべき稜線、右側の図が、それにそって切って得られた展開図を表します。
2.多面体の展開図と未解決問題02
2.多面体の展開図と未解決問題03
切るべき多面体のスケルトンの「全域木」というのはたくさんあり、その一つ一つに対応した展開図が存在します(回転や裏返しで同じ展開図になるもも区別しています)。
 
 展開図についてもある程度理解したので、次の2つの素朴な疑問を考えてみましょう。
 
Q1.  凸多面体の展開図は重ならないか?
Q2. 一つの展開図から組み立てられる多面体は一つだけか?
 
 
問題の重要性はさておき、上の二つの答えはいずれも No です。次の図は Q1. の反例です。
2.多面体の展開図と未解決問題04
 この特徴をよく観察すると、次のような面の数が最小の(面の数が3つの) Q1. の反例が出来上がります。
2.多面体の展開図と未解決問題05
 どうでしょう。案外知られていない事実なのではないでしょうか。そもそも学校で習う展開図は正多面体のものだったりして、このようないびつな多面体は扱いませんから。図だけでは解らないという人は、上の展開図を印刷して、実際に模型を作ってみるといいかもしれません。但し模型を作るには、重なった展開図はかなり不適当であることを注意しておきます。次の図は、Q2 の反例です。これも実際の模型を作ってみると一目瞭然。組み立て方が二通りあるのですから、非常に困惑することでしょう。
2.多面体の展開図と未解決問題06
 上の二つの素朴な疑問がいずれも No であることが解ったわけですが、Q1 の反例については、実は展開の方法が悪かっただけであり、違う方法で展開すれば(違う稜線を切れば)重ならないことは容易に解ります。そこで次のような疑問が自然と浮かんできます。
 

Q3. どんな多面体も、うまく展開して展開図が重ならないようにできるか?
 
残念ながら、この疑問は未解決です。誰も Yes とも No とも判断がついていない状況なのです。次のページでは、この問題に対する計算機を用いた実験について説明します。

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