理学部生命圏環境科学科

メニュー

第7回多摩川河口干潟 干潟生物調査(SCOP100)開催報告

2012年5月19日(土)、多摩川河口干潟において「第7回 多摩川河口干潟生物調査(SCOP100)」が開催されました。本学科の風呂田利夫教授が講師を務め、多摩川の河口干潟とそこに生息する生き物について解説しました。
 多摩川の河口部は、開発が進んだ東京湾の湾奥部において奇跡的に残された広大なヨシ原を持つ河口干潟で、その面積は東京湾で最大級の規模を誇ります。そこには豊かな干潟の生き物が数多く生息しています。しかし近年、隣接する羽田国際空港の新滑走路の建設により大規模な沿岸開発が行われました。それが今後の多摩川河口干潟や東京湾の自然環境にどのような影響を与えるかを把握するため、本調査は始められました。
 本調査は、市民と研究者が手を組み、人海戦術でその場の生物多様性を捕えることを目的に、参加者全員で決められた量の砂や泥を取り、中に潜む生き物を記録します。毎年、同じ条件で生き物を記録することで年ごとの変動を把握することができます。
 当日は、良い天候に恵まれ、約70名の参加人数がありました。大師河原水防センター(干潟館)に集まった参加者はまず風呂田教授の多摩川の河口干潟の希少性とそこにどんな生き物がいるのか説明を受け、調査場所へ向かいました。
 調査場所は多摩川河口のヨシ原が急にぽっかりと開けたような場所です。そこにはヨシ原の際から、どろどろの場所、砂がしまった場所、水際など様々な環境があり、その環境に応じて生き物が生息しています。対岸には羽田国際空港と飛行機が離着陸する姿が見え、初めて参加した人の中には「都会にもこんな場所があったんだ」と驚きの声をあげていました。また参加した大人たちは泥だらけになりながら生き物と触れ合い、まるで子供のようにはしゃいでいるのが印象的でした。
 調査では、調査場所を網羅するように配置した測点で参加者がそれぞれスコップを持って25×25×20cmの穴を掘り、中の生き物ごと砂や泥を採取しました。それを目の細かいネットに入れ、川の水でガシャガシャと砂や泥を洗い流し、生き物だけを取り出しました。
 調査後は干潟館に戻り、採った生き物の同定(名前を決める)作業を行いました。図鑑や研究者の力を借りながら、自分が担当した測点の生き物をひとつひとつ同定していきます。こうして全てのデータが集まり、初めて別の年と比べることができるのです。
調査のとりまとめでは、今回の調査に協力いただいた研究者から今回の調査結果についての解説がありました。風呂田教授は「参加した市民の方々が研究活動を通して生き物と触れ合える良い機会になったと思う。来年も行われるので継続的にご参加ください。」と述べました。なおこの調査の結果は12月1日に行われる羽田周辺水域環境調査研究委員会が主催するシンポジウムで発表される予定です。
【羽田周辺水域環境調査研究委員会】
羽田国際空港の新滑走路建設に伴って発足された委員会。風呂田教授が委員長を務める。新滑走路が多摩川河口域や東京湾全体に与える影響を明確に把握することを目的に、様々な分野の研究者・行政・NPO・市民が協働して事業前から事業完了後も継続的に調査研究を進めている。
※参照:プレスリリースNo.338
「第7回多摩川河口干潟 干潟生物調査(SCOP100)~100人がスコップ持って干潟の生き物分布を徹底調査!~」

お問い合わせ先

東邦大学 理学部

〒274-8510
千葉県船橋市三山2-2-1
習志野学事部

【入試広報課】
TEL:047-472-0666

【学事課(教務)】
TEL:047-472-7208

【キャリアセンター(就職)】
TEL:047-472-1823

【学部長室】
TEL:047-472-7110

お問い合わせフォーム