理学部生命圏環境科学科

メニュー

ハワイ実習での水質調査について

生命圏環境科学科では毎年8月下旬から9月にかけて、環境科学海外研修としてハワイ島をメインにした実習を実施しています。この実習メニューの中で、今年度は水質調査を行いました。この記事はその水質調査の結果について、学生が報告するものです。
参考:http://www.toho-u.ac.jp/sci/env/column/column_20170406.html

 生命圏環境科学科2年で環境科学海外研修に参加した小俣です。今回の実習で実施しました水質調査の結果について、この記事でご報告します。

 実習では、ハワイ島に3泊4日、オアフ島に1泊2日の日程で、環境科学に関する様々な、視察・調査を行いました。その一環で、今回はハワイ島、オアフ島それぞれ場所における様々な「水」の水質について調査を行ったので、その結果について報告をしたいと思います。主に調査のサンプルとしたものは、宿泊したホテルの水道水、実習で訪れた海岸で採集した海水です。この他にも、表流水やペットボトルの飲料水なども測定したのですが、今回は上記の2つに絞ってご報告します。
ハワイ島における主な調査地点
ハワイ島における主な調査地点
 今回の実習参加は8名でしたが、それぞれ2人組になり、pH、全硬度、残留塩素、CODについて調査していきました。pHは水の中の水素イオンの濃度を表す指標で、リトマス試験紙などを使って中学校でも習うので、皆さんもよく知っていると思います。全硬度は、水に微量含まれるカルシウム (Ca)イオン やマグネシウム (Mg)イオンの質量を示すものです。一般的に日本の水は全硬度が低く、全硬度は味に影響を与えるため、私たち日本人は高い全硬度の水にはなれていないので、美味しくないと感じる人もいるようです。残留塩素は、水道の水を衛生上安全に保つために必要な遊離残留塩素と結合残留塩素とを合わせたもので、その水を殺菌したり水の中の物質を酸化反応させたりするのに有効に作用し得る塩素化合物の量を示した指標です。水道水でこの値が低くなりすぎると、水を十分に殺菌することができず、安全を保てなくなると言えます。最後にCOD(Chemical Oxygen Demand)は、化学的酸素要求量のことを指し、水中の被酸化性物質を酸化するために必要とする酸素量で示したもので、代表的な水質の指標の一つです。日本では、排水基準に用いられているほか、海域と湖沼の環境基準にも用いられています。この値が高いと水中の有機物の量が多く、一般的には「水がきれいではない」と認識される事になります。
コナの海岸で海水の採取を行っている時の一コマ
コナの海岸で海水の採取を行っている時の一コマ
 サンプルにする水は、写真のように採取し、数回のとも洗いをしたペットボトルで持ち帰り、ホテルで測定を行いました。測定には、簡易なパックテストに加えて、デジタルのポータブル吸光光度計を用いて計測しています。
ホテルでポータブル吸光光度計を用いて水質測定をしているときの一コマ
ホテルでポータブル吸光光度計を用いて水質測定をしているときの一コマ
黒砂海岸で簡易のパックテストにより測定を行っている様子
黒砂海岸で簡易のパックテストにより測定を行っている様子
水道水
場所pH全硬度
(ppm)
残留塩素
(ppm)
COD(D)COD
コナ710024NA
黒砂海岸7.59622.0~4.00.0~5.0
ヒロ7.5~8.0200.13.0~4.05
海水
場所pH全硬度
(ppm)
残留塩素
(ppm)
COD(D)COD
コナ8.51001.1NA5
黒砂海岸8.51001.4530.0~5.0
ヒロ8.5~9.01001.13.0~4.05
 この結果で大きく差が出たのは、水道水の全硬度でした。差ができた理由としては、コナとヒロの降水量の違いだと推察しました。ヒロはコナに比べ降水量が多いため水源全体が薄められたと考えられます。

 今回私たちは、ハワイ実習の内容が新しくなってから初めて実習を行った学年でした。前回まであったハワイ大学での交流がなくなったことは残念でしたが、非常に楽しい時間を過ごせました。ハワイ島のさまざまな場所に行ったことでそれぞれの土地の特徴などを知ることができました。実習で水質調査をしたことは、初めてだったので各場所で水に着目しながら活動していました。来年からの実習でも続けていくことで他にもわかることが増えていくのではないかと考えられます。

お問い合わせ先

東邦大学 理学部

〒274-8510
千葉県船橋市三山2-2-1
習志野学事部

【入試広報課】
TEL:047-472-0666

【学事課(教務)】
TEL:047-472-7208

【キャリアセンター(就職)】
TEL:047-472-1823

【学部長室】
TEL:047-472-7110

お問い合わせフォーム