理学部生命圏環境科学科

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「なぜ夢を見るのか」から「なぜ自然環境を保護するのか」へ

渡辺 恒夫 (教授 / 環境管理・創成科学コース)

渡辺恒夫教授の研究が日刊工業新聞朝刊(2008年1月1日)に紹介されました。

掲載紙についてはこのページの一番下をご覧下さい。

「なぜ夢を見るのか」から「なぜ自然環境を保護するのか」へ

 初夢にちなんで「夢の科学的研究」特集をするということで、日刊工業新聞社の記者の方が取材に来られた。
 夢研究の「科学」的な部分については、下記の記事を見ていただくとして、実際に大いに盛りあがったのは夢は何の役に立つのかという話題であって、これは科学的にはなかなか答えが出にくい。
 科学で研究されているのはレム睡眠は何の役に立つのかという方の問題であって、これには記憶の整理・固定に役立つという有力な説がある。一方、レム睡眠の副産物的な夢には、フロイトいらい、願望を充足することによってストレスを解消するという説があるとはいえ、科学的実証は難しい。
 話しているうちに、自然環境保護という問題にも、同じような構図があることに気づいた。
 大気汚染や海洋汚染は人体に被害を及ぼすし、地球温暖化はハリケーンの大型化や海岸地帯の水没の原因となる。だから自然環境を保護する意義は明らかに思える。
 けれども、自然環境を私たちの安楽な生活のための物資の供給源としてしか見ないのであれば、もっとビッグでベターな技術を開発すれば済むことではないかという、科学技術万能論を完全に退けるのは難しく思える。
 そこで環境倫理学・環境心理学といった人間科学の分野では、自然環境の精神的価値ということを主張する。たとえば自然は美しいから保存する価値があるという「画廊論」、心身の健全な発達にとって必要であるという「保育園論」、崇高さに触れる場として価値があるとする「大聖堂論」、等など。
 これらの説も、夢のストレス解消説に劣らず、科学的実証は難しく思える。とはいえ、けっして不可能ではない。現に、アメリカの病院では、手術後の患者さんの回復率は、窓から木立の見える病室の方がレンガ塀しか見えない病室よりも良いという研究結果が出ている。
 私たちの研究室でも、夢研究でつちかった脳波などの測定技術を応用して、自然風景はパソコン画面であってさえも心身の深いところでストレスからの回復に効果があるという、厳密な科学的実証に乗り出したところである。

渡辺教授の研究が紹介された記事

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