理学部化学科

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原子の構造

電子殻と軌道

金の色について説明するには,まず原子の構造についてお話しなければなりません。電子が原子核の周りに層に分かれて存在していることや,この層を電子殻とよびますが,殻(電子殻を単にこうよぶことにします)は原子核に近い方から,K殻,L殻,M殻,N殻….とよんでいることはご存知でしょう。それぞれの殻に収容される電子の最大数が決まっていて,K殻は2個,L殻は8個,M殻では18個で,一般にn番目の殻には2n2個の電子が収容されます。またそれぞれの殻は軌道とよばれるグループに分けられます。K殻は1s軌道だけ,L殻は2s軌道と2p軌道に,M殻は3s軌道,3p軌道と3d軌道に分けられます。外側の殻に行くほど軌道の種類が増えていることに気づいたと思います。N殻には4f軌道という軌道も存在します。この軌道というのは電子が入る部屋のようなもので,それぞれ形が異なります(図2)。現在の私たちの知識によると原子の中で電子は雲のように存在しているので,図2ではそのイメージで表示しています。またs軌道は球状の1種類しかありませんが,亜鈴型をしたp軌道は方向が異なる3種類が存在し,複雑な形をしたd軌道は5種類,もっと複雑な形をしたf軌道は7種類が存在します。それぞれの軌道には電子が2個まで入ることができるので,各電子殻に入ることができる電子の数は先ほどの数になります。
図2 原子軌道。s軌道は1種類,p軌道は3種類,d軌道は5種類,f軌道は7種類ある。そのうちd軌道は2種類,f軌道は1種類のみを示す。電子には波としての性格があるので,波の位相の関係がわかるように赤と青で示されている。Pointfillist(S. P. Tullyら, J. Chem. Educ. 2013, 90, 129)を用いて描画。

軌道への電子の入り方

つぎに電子殻にどのように電子が入って行くかをみておきましょう。原子核は正の電荷をもち原子は負の電荷を持ちますから,基本的には両者はクーロン力で結びつけられています。原子核に近い殻ほど強くクーロン力が働きますから,電子は原則としてK殻,L 殻,M殻の順で入って行きます。また同じ殻の軌道でも入る順番があり,s軌道,p軌道,d軌道,f軌道の順に入って行きます。同じ殻ならばこの順に平均的に原子核に近いところに存在し,よりエネルギー的に安定化しています。同じ殻でも軌道によってエネルギーが違うということや,電子は互いにできるだけ違う空間を占めたいという性質のため,M殻以降の殻の電子の入り方は複雑になり,完全に電子殻が満たされなくてもより外側の殻の軌道に電子が入るということが起こります。

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