理学部化学科

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秋田県玉川温泉 1

 秋田県玉川温泉(秋田県仙北市田沢湖玉川)は,十和田八幡平国立公園の八幡平西端部にあり(図-1)八幡平火山と焼山火山に関連をもつ温泉と考えられています。この温泉は一切経温泉(福島県)や川湯温泉(北海道)と並ぶ,日本でも代表的な火山性酸性泉の一つであり,付近には後生掛,蒸ノ湯,銭川,赤川,澄川,藤七等の温泉が点在し,非常に変化に富んだ景観と,多種類の泉質の温泉群を構成しています。
図1
図-1 秋田県玉川温泉
 玉川温泉の出現は 806年(大同元年)の焼山火山(海抜1386m)の大爆発によるものといわれていますが,温泉が発見されたのは江戸時代初期か中期のようです。

 この温泉は強い酸性泉の熱水で,下流での人間生活環境にも様々な影響を及ぼし,その処理対策に江戸時代から苦心が払われていました。99℃でpH1.2という強酸性の温泉が200年以上も絶え間なく毎分10.000Lと大量に湧出してきているので,その処理と処分が非常に困難なことは容易に想像できると思います。

江戸時代は,周辺の山から沢水,湧水を導き善助堰や田口堰(1841(天保12年)築)を使って,沢水による希釈による強い酸性水の処理を試みていました。この防止対策方法が永年に渡って利用されていましたが,明治初年の台風で田口堰がくずれてしまいました。明治大正時代には,この方法による防止対策だけでは,下流住民にはまだ多くの被害がもたらされていたようです。昭和になると,湯川の流れを変えて付近の土壌中に温泉水を放流し,酸性泉を中和する方法が用いられていましたが,充分な効果を得ることはできませんでした。さらに1970年代には草津温泉(群馬県)で行われていると類似の,石灰岩を用いる簡易中和処理法を,国の事業として試験的に行っていました。その後玉川ダムが建設され,玉川水系の水資源確保,多目的水利用計画の一環として,恒久的な中和施設が大沸泉の下流約5~600mの地点に建設され,1989年10月より一部運転,1991年4月より本運転を開始しました。


 玉川温泉について特筆されることは,一つの湧出口から出る温泉としては湧出量が極めて膨大なことと,それと共に湧出される成分(物質)が多いことです。それらの物質の沈殿することにより生成した物質のうちでも,北投石(図-2)は特に有名で,天然記念物に指定されています。
図2
図-2 秋田県玉川温泉産 北投石
 玉川温泉水の研究は1920年代に三浦彦次郎らによって初めて溶存成分が系統的に分析され,精力的に研究されました。その後は1940年代の中期に玉川温泉研究会が発足し,1950年代には飛躍的な研究発展があり,以後多くの研究者による研究対象とされ研究が引き継がれてきています。このころから医学的研究と共に,地球科学的な視点から温泉ガス,沈殿物,地質等についてより一層詳細な研究がなされるようになりました。

 火山性酸性泉が,数百年間も枯渇することなく,著しい湧出量の変化も認められないという事実は一時的な調査や検討では,このような温泉の湧出機構について,その全てを考察することは困難であり,少なくとも20~30年間の研究調査の結果によりこれを考察し,火山性酸性泉をよりよく理解する事が必要な事を示しています。

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